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米軍事情報を盗んで中国へ、中国籍の被告が罪認める――米司法省
被告は中国国内の人物と共謀して米Boeingなどのコンピュータに侵入し、重要情報を盗んで米国から中国へ不正に送っていたことを認めたという。
米司法省は3月23日、米軍事関連大手のコンピュータネットワークに侵入して重要情報を盗み、中国に送っていたとして起訴された中国籍の男が、米カリフォルニア州の裁判所で開かれた公判で罪を認めたと発表した。
起訴されていたのは、航空宇宙分野に携わる実業家で中国籍のスー・ビン被告(50)。カナダで2014年7月に逮捕され、米軍の輸送機や戦闘機に関する情報などの軍事技術情報窃盗にかかわる共謀の罪で米ロサンゼルスの裁判所に起訴された。
スー被告は司法取引に応じ、2008年3月から2014年3月までの間に中国国内の人物2人と共謀して米Boeingなどのコンピュータネットワークに侵入し、重要情報を盗んで米国から中国へ不正に送っていたことを認めたという。
カリフォルニア州の連邦検察や米連邦捜査局(FBI)の調べによると、同被告は標的とすべき企業や担当者について共謀者に指示を出していたとされる。共謀者はこの指示に基づいて米国の複数企業のコンピュータに侵入し、不正アクセスしたファイルやフォルダの内容をメールで報告。スー被告はどのファイルやフォルダを盗むべきかを指示して共謀者に盗ませ、一部のデータを英語から中国語に翻訳するなどしていたという。
有罪になった場合の法定刑は5年以下の禁錮と、罰金25万ドルまたはこの事件の被害総額の2倍。判決は7月13日に言い渡される。
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