新人に教えるためのノウハウ、「物差し」の壊し方:ハギーのデジタル道しるべ(2/2 ページ)
ベテランと新人の間には経験や考え方に大きな違いがある。その違いを踏まえて、新人にマナーやリテラシーをどのように教えていけばいいのだろうか。
人間の感動を物差しにすると、極めて多次元の物差しが必要となると思うのは誤りだろうか。スーパーコンピュータを利用するなどして「感動」そのものがロジック化され、しかも人工知能搭載の学習型「感動ロボット」が人間を凌駕していく時代がくるのかもしれない。
だが、チェスから将棋や碁に広がった“デジタル侵入者”にとっても、人間の「感動」を具現化するのはそう簡単ではないとも思う。カラオケは歌をうまく歌うための“ツール”としては良いものだし、否定はしない。カラオケをみんなで楽しむという、この種の番組の良さも理解している。
つまり物事に多様性があるように、物差しも1つではないというわけだ。新人を教育するベテランの人なら、まず自分たちの物差しを多様化する必要がある。一部の教育者が新人への教育訓練で実践している「物差しの壊し方」の例を紹介したい。
- その1:ここにスイカがあります。今から2分間でスイカの有効活用法を「食べる」以外に30個ほど用紙に記入してください。
- その2:ここに日本列島と一部の外国の領地を記載した地図があります。この地図を逆さにして、思いついたことをいくつでも記載してください。
教える立場なら、自分の物差しを多様化して一度に5個や6個もの物差しをすぐに頭の中で描きたい。現代の多様化、複雑化している様々な問題点について頭をフル回転させ、数分後できれば数秒後に、新しい物差しに対応できる実践的なスキルを磨いていただきたいと思う。
今の世の中、「お金」という単一の物差しが人々の心まで侵蝕している。「お金」はとても大事で、とても頼りになるものの1つであることは疑う余地がない。だが、その物差し1つで生活したら、とても不幸になる可能性が高いということも多々ある。「価値観の多様化」と言うのは簡単だが、これを実践することは極めて難しい。このことを新人が考えられるようになり、実践できるようになれば、最も有能な技術者にも経営者にもなれるだろう。次回は別のヒントを提示してみたい。
萩原栄幸
日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。
組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。
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