次世代ファイアウォールからプラットフォームに――パロアルトネットワークスが大規模な機能強化
パロアルトネットワークスが次世代ファイアウォール製品やセキュリティサービスを大幅に機能強化。クラウド対応を拡大し、脅威情報の提供もスピードアップさせる。
パロアルトネットワークスは4月15日、次世代ファイアウォール製品の最新版ファームウェアのリリースやセキュリティサービスの拡充などを発表した。セキュリティ対策の“プラットフォーム”として企業に訴求するとしている。
ファームウェア最新版の「PAN-OS 7.1」では50種類以上の機能を強化したという。中でも従業員などのアプリケーションの利用状況をレポートする機能ではSaaSアプリケーションに対応。どのようなSaaSのサービスが利用されているのかや、送受信されたデータ量などを管理者が把握でき、効率的なネットワークの運用やセキュリティ対策に生かせるという。
次世代ファイアウォールソフトウェア製品の「VMシリーズ」ではMicrosoftのAzureとHyper-V上で動作するようになり、社内とAzureサービス上で次世代ファイアウォール機能を同じように利用できる。また、Amazon Web Servicesのロードバランサ機能と連動するようにもなった。
セキュリティサービスではサンドボックス解析と検知シグネチャの配信サービス「Wildfire」でOS X向けのファイル解析が可能になった。同社が3月に報告したMac初とされるランサムウェア「KeRanger」もこのサービスの試験中に発見したという。また、シグネチャの配信間隔もこれまでの15分から5分に短縮し、検知対応のスピードをアップさせている。
同社ではSaaS型セキュリティサービス「Aperture」を2016年中に開始する予定。既に海外では利用でき、今回のサービス強化でOffice 365に対応した。
今回の機能強化についてエヴァンジェリスト兼テクニカルディレクターの乙部幸一朗氏は、クラウドサービスやモバイル環境の普及を背景に業務アプリケーションやデータがオフィスの外で頻繁に利用される状況に対応したものだと説明。ネットワークセキュリティ対策からPCなどのエンドポイントのセキュリティ対策をカバーすることで、「セキュリティプラットフォームとしてのメリットを企業に訴求したい」と話した。
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