第43回 日本人にとって「Windows OSはハードウェア」?:テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(2/2 ページ)
昨年リリースされたWindows 10へのアップデートが話題になっていますが、OSに対する日本人ユーザーの感覚にも“ここヘン”があるようです。
「Windows OSはハードウェア」という日本人の感覚
エンドユーザーや日本マイクロソフトの担当者、販売代理店などさまざまな立場の方の意見を聞いていると、先進国の中で日本は少し特殊であることが感じられます。
それは「Windows OSはハードウェア」のように捉えていることです。
具体的には「Windows OSはPCを購入したら付いてくるので、バージョンアップのタイミングはPC本体の老朽化やリース切れによる更改のタイミング」という感覚が、日本人に根強く残っているということです。ですから、PC本体を入れ替えずにOSだけをバージョンアップするという今回の「Windows 10強制移行」が理解できない……。
確かに、OSだけをバージョンアップするというのは、その費用対効果に疑問を感じるでしょう。社内プロジェクトを立ち上げなければならず、各部門から担当者をアサインしなければなりません。
また、人件費のみならず目に見える形でコストも発生します。今回は、従来と異なり2016年7月29日までであればWindows 10へのバージョンアップは無償ですが、無償なのはOSだけ。その上で動くアプリについては、“Windows 10対応”の新バージョンへ有償でアップグレードしなければならないケースも多々あります。実際の調査結果も見ても、日本の中堅・中小企業は今回の施策にポジティブな印象は抱いてないようです。
では、海外はどうでしょう?
日本は「無償でも乗り換えたくない」という企業が多いわけですが、欧米の先進国では逆に「お金を払ってでもOSだけバージョンアップできるようにしたい」と考える企業が多い事実があります。
これは、PC1台あたり年間数千円払い続ける「ソフトウェアアシュアランス(Software Assurance=SA)」契約の採用状況を見てもうかがえるのですが、彼らに“塩漬けしてラクにしたい”という気持ちはないのでしょうか? IT担当者は暇なのでしょうか?
実は、彼らは日本と違って組織的な理由で余裕があるのです。(次回につづく)
小川大地(おがわ・だいち)
日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。
カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション。
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