コレ1枚で分かる「クラウドによってもたらされる3つの価値」:即席!3分で分かるITトレンド
クラウドの導入は、情報システム部門、経営層、ユーザーのそれぞれに価値をもたらします。今回はクラウドによってもたらされる3つの価値を解説するとともに、価値を引き出すためのコツを紹介します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
クラウドの価値を享受するために
クラウドの価値は、情報システム部門、経営層、ユーザーのそれぞれに対してもたらされる価値として整理することができます。
情報システム部門への価値:「TCOの削減」
ビジネスのグローバル化やデジタル化が求められる時代になり、ITへの要求も増え続けています。しかし、IT予算が伸びる見通しはなく、TCO(Total Cost of Ownership)の増加が重くのしかかっている情報システム部門にとって、TCOの削減は予算面でのメリットを享受できます。
経営者への価値:「バランスシートの改善」
パブリッククラウドであればシステム資産を増やすことなく、経費として処理できます。また、プライベートクラウドであれば、システムの利用効率が高まり、少ない資産で済みますから、ROA(総資産利益率)やROI(投資収益率)などの経営効率の改善に寄与します。
ユーザーへの価値:「柔軟性の向上」
ビジネスの不確実性が増すと、システムの機能や構成をあらかじめ決めることを難しくしています。その一方で、いったん決まれば即応が求められ、変更にも俊敏に対応しなければならなりません。クラウドは、システム資源や業務機能を必要な時に必要なだけ利用でき、費用も使っただけ支払うことで対応でき、必要なくなればいつでも辞めることができるので、システムを購入し、資産として所有しなければならない従来のやり方に比べて初期投資リスクは少なく、変化への対応も柔軟になります。
残念ながら、ただクラウドを使うだけでこのような価値を引き出せるわけではありません。開発や運用のやり方も最適化する必要があり、「所有」を前提とする手法をそのまま使っていては難しいでしょう。
例えば、性能を十分に出せなかったり、使用料金が嵩んでしまったりといったことになりかねません。また、従量課金になりますから、予算の取り方も変わります。
クラウドを使用するこということは、クラウドについての理解を十分に深め、確固たる決心と信念、工夫によって、その価値を引き出す努力が必要になるのです。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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