インテル セキュリティ(マカフィー)の山野修社長は7月20日、新体制での事業戦略について報道機関向けに説明した。同氏は企業や組織におけるセキュリティ人材不足を課題に挙げ、「共有」と「自動化」をキーワードに解決策の提供に注力すると表明した。
山野氏は5月30日付で同社代表取締役社長兼米Intel インテルセキュリティ事業本部日本担当副社長に就任。以前にはEMCジャパンやRSAセキュリティ社長などを歴任し、セキュリティメーカーのトップに復帰した格好だ。同日の記者会見では開口一番に、「再びこの業界に戻ってきた。セキュリティに対する国内での注目の高まりとともに、当社の事業も好調に推移している」と述べた。
企業や組織のセキュリティ環境については、モバイルやクラウド、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータなどのITの新たな利用形態が「企業や組織の中に閉じていた従来の対策に変化をもたらしている」と指摘。特に、セキュリティ対策にあたる人材の不足が最大の問題だと提起した。
サイバー攻撃などセキュリティの脅威動向は、攻撃手法の複雑化・高度化などによって防御重視の従来型の対策が難しくなっているという。山野氏は今後のセキュリティ対策で、事前に防御が難しい脅威に対しても迅速な検知や復旧を図りつつ、脅威の変化に応じながら対応できるようにしていく必要があると話す。ただ、上述の人材不足などの問題から対応は容易ではないため、「共有」と「自動化」が問題解決の切り口になると説明した。
「共有」に関して具体的には、同社が展開するネットワークやエンドポイントの対策製品群と脅威分析や管理の製品群を連携させ、包括的なセキュリティシステムとしてより有効に機能するよう開発を推進する。また、他のセキュリティメーカーと脅威情報やその分析情報を共有する枠組みも構築しており、最新の脅威対策に不可欠な情報面での共有も推進していくとした。
一方の「自動化」については、上記の製品連携の仕組みを活用する。既に知られている脅威などにはセキュリティシステムが可能な限り自動的に対応して人的な作業を省力化させ、セキュリティ担当者が新しい脅威への対応へ集中できるように支援するという。
また、セキュリティ対策がカバーすべき領域も従来の情報系システムから制御系や操作系システムに広がっているため、IoTの世界を構成するデバイス、ネットワーク、ゲートウェイ、データセンターなどにセキュリティソリューションを提供していくと表明した。
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組織に侵入したマルウェアの分析や影響の調査などにおける作業を支援し、脅威の検出から対応までの時間を短くすることで被害を抑止していけるという。
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