第27回 32ビット環境に迫る「2038年問題」 検証で分かった事実:古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」(3/4 ページ)
ここまで32ビット環境における「2038年問題」と、その検証に向けた準備を進めてきました。今回は準備した環境で実際に検証してみます。ついでに、筆者が18年間愛用する腕時計でも試してみました。
今回の検証は、GUIアプリが稼働しない単純な例ですので、正しい時間を刻むことができないという結果しか表示されません。GUIアプリが稼働するデスクトップOS環境をKVM仮想化環境などで用意して2038年問題を発生させてみると、別の障害が発生することも分かりますので、ぜひ試してみてください。2038年問題はまだ20年以上先の話ですから、ピンと来ないかもしれません。しかし、コンピュータと時計は、非常に密接な関係にあり、物理マシンだけでなく32ビットのDockerコンテナが稼働する環境でも考慮しなければならないことが理解できたかと思います。
また、サーバやデスクトップOSだけでなく、身の回りの家電製品なども時計を内蔵しています。2038年問題に対応しているのかをチェックしてみると、家電製品とコンピュータの関係を少しだけ垣間見ることができるかと思います。
腕時計「ALBA SPOON WEB」の2038年問題
ここで、連載の第25回に紹介した筆者が18年近く使っているデジタル腕時計「ALBA SPOON WEB」の2038年問題に迫ります。実際に、腕時計の時刻が2038年1月19日12時14分7秒(日本標準時)になるとどうなるかを試してみましたので、動画でご覧下さい。
動画:「ALBA SPOON WEB W440-4000」の2038年問題は発生するのか?
URL:https://www.youtube.com/watch?v=pefi6Fa6HM0
ご覧のように、筆者の腕時計は1998年に発売されたものですが、なんと2038年問題がありません。コンピュータの2038年問題とは、ざっくり説明すると、32ビットOSにおける「32ビット変数」が上限値(1970年1月1日午前0時から数えて21億4748万3647秒を超えた値)に達した場合に発生する問題です。筆者の腕時計で2038年問題が発生しないということは、時計に関する変数が「32ビット変数」ではなく、別のロジックによって数値がカウントされ、時刻として表示する仕組みが備わっていると推察できます。
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