第28回 Docker Networkingの基礎知識 ソフトウェア定義型時代の到来:古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」(2/3 ページ)
今回からDocker環境のネットワーキングに迫ります。ネットワーキングと聞くと、とても難解なイメージがあるかもしれませんが要素技術は非常に重要です。従来の物理システムと異なる点もあるDockerのネットワーキングについて、まずは基本を解説します。
筆者が携わっている科学技術計算向けの超並列計算サーバ(超高速計算が要求されるスーパーコンピュータシステムなど)や、Hadoopと呼ばれるビッグデータ基盤ソフトウェアによるスケールアウト型基盤などのように、システム要件が限定的な個別システムの場合、比較的単純なネットワーク構成をとることが少なくありません。
一方、前項の図に見られる業務システムは、2000年代前半の仮想化を含まない一般的な3層構成としては典型的な構成ですが、基幹業務系のシステムや関連部署のシステムなど、複数のネットワークセグメントが用途ごとに分かれており、ゲートウェイ設定、ルーティングの設定などが入り乱れています。また、関連会社とのサービス連係、特に、業界で伝統的に利用されている専用のレガシーな通信プロトコル(例えば、低速なモデム機器と公衆回線を使って卸売業と小売業が受発注で行うJCA手順や金融機関で使われている古い全銀協手順など)がTCP/IPを使うWebシステムと共に使われる場合は、ネットワーク機器構成が複雑になるだけでなく、非TCP/IP通信が可能な専用のサーバシステムの導入も検討しなければなりません。
ちなみに、2016年現在でも流通、製造、金融業において、非TCP/IPのレガシーなプロトコルを使った大規模な無停止型サーバシステムが導入されています。ネットワーク機器構成の複雑性を低減させるだけでなく、業種や商習慣によって必要とされるレガシープロトコルへの対応も視野に入れる必要があります。
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