第31回 「ポケモンGO」まで来たITの進化とその先にあるIoTの衝撃:日本型セキュリティの現実と理想(1/3 ページ)
各種メディアをにぎわしているIoTは、日本も国を挙げて推進しようとしているほどの大きな潮流となりだした。今回から何度かにわたって、セキュリティはもちろん、このIoTの本質や課題、その将来性などを記す。まずはIoTの本質から考察したい。
IoTとは何か?
「IoTとは?」――この質問に明確な回答をできる人がどれほどいるだろうか。もちろん、インターネットには、「Internet of Things(モノのインターネット)」という解説が山ほどある。
中には、かつて「M2M(Machine to Machine)」と呼ばれていたことの延長と考える人もいるだろう。M2Mとは、機械と機械が通信ネットワークを介してお互いに情報をやりとりする、工場内の集中制御と本質的にはなんら変わらないというものだった。私も、所属企業が古くからM2Mに関連する組み込み事業を行っている関係で、IoTという言葉が登場する以前からこの分野のことはよく見聞きしていた。そのため、当初はIoTといっても、従来のM2Mと全く変わらないと考えていた。
むしろ、IT業界が仰々しく「モノのインターネット」などと、あたかも新しい概念のように表現しているだけであって、このようなバズワードはすぐに消えてしまうだろうと感じていたのだ。しかし、今考えるとそれは少々短絡的であったかもしれない。IoTは、M2Mでいわれたようなセンサや工場の制御システムのデータを集約するだけにとどまらない。本格的に普及することができれば、ありとあらゆるモノがつながることで世の中を一変させる可能性を持っているからだ。
これまでのIoTは、工場内の制御系システムや組み込みシステム、M2Mなどと呼ばれ、WindowsやLinux、クラウドコンピューティングなどのICTとは別系統の進化を遂げてきた。しかし、それらは過去のことになりつつあり、IoTのデータを効率的に収集できるインフラが整うことで、モノのデータはとうとうICTの世界に集約され、大量のデータを自由に活用できるようになった。もう本格的なIoT時代は目前に迫ってきていると言ってよいだろう。このIoT時代とは「収集したモノのデータで未来を予測し、新たな価値を生む仕組み」が実現した新しい時代だ。
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