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Tesla車に“乗っ取り操作”の脆弱性、走行中にブレーキも セキュリティ研究チームが実証
Teslaの「Model S」で複数の脆弱性を突いて、駐車中の車のサンルーフなどを操作したり走行中の車を停車させたりできてしまうことを実証した。
中国Tencentのセキュリティ研究チームは9月19日、米Tesla Motorsの車を遠隔操作できてしまう脆弱性を発見したと発表した。離れた場所からコンピュータを操作して、走行中の車を停車させたりする実証ビデオも公開している。
同社の研究チームKeen Security Labのブログによると、実証実験は最新のファームウェアを適用したTeslaの「Model S」で実施。複数の脆弱性を突いて、車の制御に使われるコンピュータシステムの「CAN Bus」をハッキングした。
実証ビデオには、駐車中の車を離れた場所から遠隔操作してサンルーフを開いたり、ステアリングランプを点灯させたり、座席を動かしたりする様子が映っている。
さらに走行中の車でもワイパーを操作したりトランクを開いたりできることを実証し、約20キロ離れた距離からブレーキをかけて車を停車させることにも成功した。
研究チームはこの実験に使った脆弱性に関する詳しい情報をTeslaに報告し、同社も脆弱性を確認したという。
Teslaはファームウェアの更新版を公開してこの問題に対処したと伝えられている。
実験ではModel Sの複数の車種で脆弱性の存在を確認したが、他のモデルも影響を受ける可能性があると研究チームは解説し、「問題を修正して運転上の潜在的な危険を避けるため、ファームウェアを最新版に更新してほしい」と呼び掛けている。
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