米司法省、国家機密を盗んだ大手コンサル会社の男を訴追
男が持ち出した情報がもし公表されていれば、米情報機関の情報源や収集手段などが露呈され、米国の国家安全保障に極めて重大な損害を発生させていた可能性があるとされる。
米司法省は10月5日、米政府のトップシークレットに指定された国家機密情報を持ち出した罪で、連邦政府機関の業務にかかわっていた男を訴追したと発表した。
発表によると、訴追されたのはメリーランド州に住むハロルド・トーマス・マーティン被告(51)。国有財産を盗み出し、機密情報を不正に持ち出して保持した罪に問われている。同被告は連邦政府機関の職員または業務委託者で、トップシークレットを扱うことのできる立場にあった。
逮捕されたのは8月27日で、米連邦捜査局(FBI)が自宅や車を家宅捜索したところ、書類やリムーバブルメディアなどに保存されたデジタル情報が発見され、その大部分に最高機密を含む米国の国家機密情報が記されていたとされる。さらに、総額1000ドル相当以上の国有財産を盗んでいたことも分かったという。
家宅捜索で見つかった機密情報は政府機関が2014年にまとめたもので、国家安全保障にかかわる内容だったとされる。もし公表されていれば情報源や収集の手段などが露呈され、米国の国家安全保障に極めて重大な損害を発生させていたと司法省は述べている。
有罪が言い渡された場合の刑罰は、機密情報の不正な持ち出しと保持については禁錮1年以下、国有財産の窃盗については禁錮10年以下。
米紙New York Timesの報道によると、マーティン被告はコンサルティング会社のBooz Allen Hamiltonに勤務して、米国家安全保障局(NSA)の業務を請け負っていたという。Booz AllenはNSAの機密情報を暴露したエドワード・スノーデン氏の勤務先でもあった。
マーティン被告が逮捕される1週間ほど前には、NSAとの関係が噂されるハッカー集団「Equation Group」から流出したとされるハッキングツールの漏えい事件が起きていた。この事件にマーティン被告が関与していたのではないかという憶測も浮上している。
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