ノーメークでもテレビ会議OK、資生堂の自動メークアプリ「TeleBeauty」はなぜ生まれたか:男性でも使える(1/2 ページ)
オンライン会議中の画面に表示される顔に自動でメークするアプリを資生堂が開発。女性ならではの悩みを解決することで、テレワークを支援するのが狙い。一方、男性が使っても一定の効果があるようだ。
「会議開始5秒であいさつが終わると、そっとカメラをオフにしています」「自分のノーメークの顔が、会社の22インチディスプレイにずっと映されていた」「最近のPCは画面が鮮明すぎて、肌のアラが……」
業務の効率化や育児・介護などとの両立を背景に、自宅や出張先などをつなぐオンライン会議を採用する企業が増えてきているが、化粧にまつわる理由で、苦労している女性は多いという。特に時差のある海外との会議となると、そのためだけに早朝や深夜に身なりを整えるのは大変だ。
オンライン会議でも、身なりで手を抜いた印象を与えたくない――。資生堂と日本マイクロソフトは10月7日、オンライン会議時に利用する自動メークアプリ「TeleBeauty」(テレビューティー)を開発したと発表した。
メークシミュレーションの画像を合成
女性社員が約8割を占める資生堂では、育児休暇などの制度を早くから導入しており、オンライン会議も利用していたが、化粧にまつわる悩みのほか、自室を見られたくないといった課題があることが分かったという。
「マイクロソフトの女性社員にも聞いてみたが、たとえ化粧をしていても、背景によってホワイトバランスが変化して肌がきれいに見えなかったり、PCのカメラのアングルが下からであるため、首やあごが太く見えるといった問題もある。対面で話したほうが、コミュニケーションの量も質も高まりますが、顔を見せたくないという人は多い」(資生堂 宣伝・デザイン部 クリエーティブ企画室長 片岡まり氏)
こうしたユーザーの声に応え、TeleBeautyではよい血色感や明るい肌色を再現できるよう、資生堂がこれまで培ったメークシミュレーション技術を活用している。映像上でシミュレーションを合成する機能のほか、顔の明るさと色を補正する機能、毛穴やしわなどを自然にぼかす機能を備え、メークの濃淡を細かく調整できる。お気に入りのメークが決まった段階で、Skypeにログインする仕組みだ。
自動メーク機能では、自然なメークの「ナチュラル」、2016年の流行である「トレンド」、きりっとした印象を与える「クール」、女性らしいソフトな雰囲気の「フェミニン」の4パターンから選べる。設定は保存されるため、以降はアプリケーションを起動するだけでよい。プライベートを見せたくないユーザーに向け、背景映像をぼかす機能も用意したが、どこで仕事をしているか分かるようにするため、「背景を消す機能は実装しなかった(資生堂)」という。
Webカメラで撮影した映像にメークの画像を重ねるため、ネットワークが遅延したり、激しい動きをすると、映像と画像がバラバラになってしまう可能性はあるが「できるだけ、顔の動きに追従するよう工夫を凝らした」(片岡氏)とのことだ。
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