フルスクラッチからパッケージ活用へ 人事ローテーションも断行したサッポログループマネジメントのIT改革(2/2 ページ)
サッポログループマネジメント 取締役 グループIT統括部長 石原 睦氏が、国際的なM&Aを進めるなかでのIT組織の改革やシステム統合について、サッポログループの取り組みを解説した。
グローバルデータセンターとネットワークで、海外から日本のERPを利用
IT部門の構造改革については一定の成果を収めることができた。次のステップとして取り掛かっているのは、グローバルインフラの構築だ。そのためには、標準化されていないシステム群の問題を解決しなくてはならなかった。そこで、これまでホストやメインフレーム、UNIXなど複数存在していたサーバーOSをWindowsとLinuxに、データベースもOracle 12へ統一した。石原氏は「かつてはデパートのようにいろいろなものが並んでいた。その複雑なシステムを標準化によってシンプルに統一した」と表現する。
クラウドも適材適所で活用し始めた。基幹系業務システムは、プライベートクラウドを利用。段階的にシステム拡張を行っているものはパブリッククラウドのAWSを用いるという方針で使い分けている。ただ、AWSで動かしているシステムも、本格稼働に移る段階になるとプライベートクラウドへ移すことにしている。オンプレミスの環境は、リソース統合により高集積サーバへの移行を進めている。「これにより、191もあったサーバー数は25に、ラック数でいえば35から10へと削減できる」(石原氏)
2015年12月には、さらにグローバル経営戦略を加速するために、NTTコミュニケーションズのグローバルデータセンターを選択。2016年6月には、170の国内拠点とシンガポールのネットワークを構築した。NTTコミュニケーションズのデータセンター間接続において10Gbpsネットワークが無料で提供されているという点も、グローバルネットワークを推進したいサッポログループには好都合だった。
「グローバルデータセンターを用いることで、シンガポールに設置した会計システムを日本のサーバーに移籍した。シンガポールの拠点から日本にあるERPが快適に動くのかという懸念もあったが、実際にテストしたところ、国内と同等以上のスピードを実感している」(石原氏)
この検証の結果、ERPのグローバル運用が進むのではないかという手応えを感じ、ベトナム、シンガポール、マレーシアでグローバルERPの統合を決定したという。
「グローバル経営を加速するIT改革の実践ができた。ネットワークとデータセンターは当社の経営戦略に資するものができあがった。短期間で達成できた背景には、協創の力があると感じている。ITベンダー各社の強み、当社のビジネス部門、IT部門の強みを結びつけることができた」と石原氏は話した。
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