コールセンターを支えるWatson――地味だけどスゴいヤツ:デジタルセラー中山の視点(2/2 ページ)
華やかな印象を持たれることもある人工知能(AI)ですが、実際の活躍の場は地味……。お客さま相談窓口などで活用されるIBMの「Watson」もしかり。とはいえ、それを支える技術は実はスゴいのです。
Watsonの頭脳を支える分析ツール
Watsonは、華やかな印象を持たれることが多いのですが、この両方のケースとも、重要な位置付けにあるのが膨大な文書を解析して傾向の分析を行うツールの存在です。
文書はリレーショナルデータベースに格納できる構造化データだけでなく、会話内容やSNS上の口コミ情報といった非構造化データを多く含みます。これはお客さまのいわば生の声であり、これを活用するかどうかが重要なカギとなってくるのです。こういった非構造化データを自動的に分類し、階層化することで、キーワードでの検索を容易にします。
クレームとまではいかないまでも、不満の声が増えている製品を特定したり、膨大なデータの中で数的には少数ではあるものの、企業側が思いもしていなかった製品同士の関連性を見いだしたりということも、テキスト分析により発見できることがあります。
分類によって階層して蓄積されている文書と、最新のSNSでのコンテンツをリアルタイムに突き合わせることで、その最新情報とこれまでの社内の知見とを合わせて分析するといったことにも、時期を逸せずに素早くアクションに移すことを可能にします。
高度な検索や解析技術を基にしたこのソリューションは「IBM Watson Explorer」です。IBM東京基礎研究所で長年研究されてきた日本語解析技術もふんだんに組み込まれています。
Watson Explorerは、「地味だけどスゴいヤツ」と私は思っています。
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