富士通、IoTで製造工程の状況を可視化する「VisuaLine」を発売
製造設備から収集される稼働実績のログデータから、稼働状況をグラフなどによって可視化し、異常箇所や設備不調の早期発見も可能に。製造現場の生産効率向上や改善ポイントの発見を支援する。
富士通は12月5日、工場の製造設備から収集される稼働実績のログデータから製造工程の稼働状況を1製品ごとに可視化するIoTソリューション「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VisuaLine(ビジュアライン)」(以下、VisuaLine)を発売した。
VisuaLineは、1つの製品を生産するにあたり、開始から完了までの工程で製造設備のログデータを活用し、工程時間を波形で表現したグラフで可視化。稼働状況を一目で把握でき、通常より遅延している箇所や、稼働当初より慢性的に時間がかかっている箇所など、異常箇所の発見を誰でも容易に行えるという。従来は設備からのアラームや稼働停止によって見いだしていた異常を事前点検で防ぐことができるようになり、生産の効率化を実現するとしている。
また、製造現場に設置したカメラとグラフの情報を連携させることで、異常箇所の検証などは、見たいグラフのポイントをクリックして、その時点の映像を再現し、現場で起きたことや取られた対策を確認できるという。
さらに、工程スケジュール目標と実績値を比較する予実可視化の機能によって、目標との差異から改善点を模索できるという。製品ごとの製造ラインの動線を確認する設備可視化機能によって、効率的な工程を検討することも可能になるとしている。
導入の際は、既存の設備の実績データを活用するため、IoTによる製造現場の改善をすぐに開始できることに加え、初期投資を抑えたスモールスタートが可能なため、1ラインで実践した上で拡充するといった導入手段が可能だという。
価格は、基本ライセンスが月額7万9000円(税別)から、オプションライセンスは月額2万4000円(税別)から。富士通では、2019年度までに3000ライセンスの販売を目標としている。
富士通では、2014年にオムロン草津工場のプリント基板の表面実装ライン(SMT工程)で製造設備のログデータを活用した現場革新の共同実証に取り組み、6カ月で30%の生産性向上という効果を確認。続いて2016年に行った富士通アイ・ネットワークシステムズ山梨工場のSMT工程における社内実証では、停止時間25%削減を達成したとのこと。
VisuaLineは、オムロンとの共同実証を基に確立した稼働実績を線グラフにて見える化する機能をベースに、FINETでの社内実証で開発した動画連携などの機能を付加したもので、これによりIoTによる製造現場の改革を支援していく方針を示している。
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