日本IBMは12月16日、米国で実施したランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の被害実態に関する調査結果を発表した。米国企業の70%がマルウェアの要求に応じて金銭を支払っていたことが分かり、被害額では1万〜4万ドルが多くを占めていた。
調査は、IBMのセキュリティ研究機関「X-Force」が実施したもの。600人の企業幹部と1000人以上の消費者にアンケートした。
それによると、約半数の企業がランサムウェア攻撃を経験し、このうち70%が事業データやシステムへ再びアクセスするために身代金を支払ったと答えた。支払った企業の被害額では、半数が1万ドル(約118万円)以上になり、さらにこのうちの20%は4万ドル(約472万円)以上を支払ったと回答した。
回答企業全体の約6割は、データを取り戻すために身代金を支払うとし、25%はデータの種類によっては2万ドル〜5万ドルなら払ってもいいと答えた。
また、ランサムウェア攻撃の経験を規模別でみた場合、経験したという小規模企業は29%、中規模企業では57%だった。しかしIBMは、小規模企業が攻撃経験が少ないとはいえ、従業員へのセキュリティ研修の実施率は中規模企業より低いことから、油断すべきではないと指摘する。
消費者は半分以上が身代金を支払わないと答えたものの、子供がいる家族の写真データでは55%、金融データについては54%が身代金を支払うかもしれないと回答した。
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