コレ1枚で分かる「人工知能とロボット」:即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)
人工知能(Artificial Intelligence)とロボットの機能や実用例などを整理しながら、それらが実現する未来について考察します。人間の仕事を奪うのではないかといったAIやロボットに対する疑問への“現実解”を導くヒントにもなります。
人工知能やロボットが実現しようとしていること
人工知能やそれを搭載したロボットは次の2つを実現しようとしています。1つは「人間にしかできなかったこと」を代替えし、人間の作業を効率化すること、そしてもう1つは「人間にはできなかったこと」を実現し、人間の能力を拡張することです。
前者の例としては、自動運転自動車がトラックやタクシーの運転手の代わりを、産業用ロボットが工場の作業員の代わりを、自律型無人機がパイロットの代わりをしてくれます。また音声を認識し、言葉の意味や文脈を解釈し、検索やプログラム操作を代替してくれます。
後者の例としては、
- 人間には一生かかっても読み尽くせない膨大な学術文献や法律文書を読み、これを分析し、最適な解釈や判断基準を示す
- 膨大な物質の組み合せを検証し、遺伝子やタンパク質の合成メカニズムを探り、これまでにない薬や個人に最適化されたカスタムメイドの薬を作り出す
- 犯罪の発生場所や犯罪の内容を予測し、指定された地域のパトロールを強化することで検挙率を増やし、犯罪の発生率を減らす
- 障害者や高齢者の筋力や認知能力をロボットとともに補完し、日常生活を快適なものにしてくれる
- 言葉の異なる人同士がリアルタイムで対話し、意思疎通が図る
一方で、これまで人間にしかできなかった仕事を奪ってしまうのではないかとの懸念もあり、人間は新たな役割を見つけなければならないのかもしれません。ただ過去にも、1970年代に始まるものづくりの自動化で製造現場での人間の仕事は少なくなり、管理やサービスといった仕事に役割を転じてきました。人間の役割が時代とともに変わっていくのは今も昔も変わりません。
さらに、機械が人間よりも優れた知能を持つようになり、人間を支配する時代が来るかもしれないといったことも心配されています。ただ、「知能とは何か」がいまだ解明できておらず、それを工学的に実現する方法の見通しもないのが現実です。
心配するよりも、人間に代わって安全・確実に、効率よく作業ができる、あるいは人間の知的能力を拡張し、これまでできなかったことができるようになるといったメリットを積極的に生かしていくことの方が現実的なかかわり方といえるでしょう。
特に少子高齢化が進むわが国では、働き手が少なくなっていきます。不足する労働力を補い、経済や生活の質を維持していくためには、人工知能やロボットをうまく使いこなしていく必要があります。
また、過疎化・高齢化が進む地方の交通手段や輸送手段として、自動運転車は地元の足となり、輸送手段として欠かすことができないものとなっていくでしょう。さらに、「ITや機械の操作は難しくて使いにくい」というこれまでの常識が、人に話しかけるように指示するだけでできるようになれば、高齢者や身体に障がいを持つ人たちにも大きな恩恵を与えることになります。
人工知能やロボットの実用についての模索は始まったばかりですが、着実に成果を上げつつあり、近い将来、なくてはならいな存在となるでしょう。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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