Windows 10は単なるWindows 7の移行先? 真価を問われる2017年:Enterprise IT Kaleidoscope(1/4 ページ)
リリースから1年半が経過したWindows 10にとって、Windows 7のサポートが終了する2020年までのこれから3年間は、まさに真価を問われることになるだろう。Microsoftはどんな施策を考えているのか。
Windows 10は、2015年7月末のリリースから1年半が経過した。2016年7月末まで旧バージョンのWindows向けに提供されていた無償アップグレードは、“強制的に”Windows 10へのアップグレードに誘導されるとしていろいろと問題になったが、それも終了した(なお現在も障害者向けの無償アップグレードは提供されている)。
Microsoftは当初、2018年半ばにWindows 10のインストールベースが全世界で10億台に達すると明言していた。逆に言えば、その目的を達成するために同社はさまざまな施策を打ち、その一つがコンシューマー向けの無償アップグレードだったのだろう。
しかしこの10億台という当初の目標は、2016年8月のWindows 10 Anniversary Updateのリリース直前に撤回された。同年9月末に開催されたIT管理者向けカンファレンス「Ignite」では、この時点で4億台を超えたと発表されている。Microsoftにとっての誤算は、スマートフォン向けのWindows 10 Mobileが伸びなかったことだろう。それに、PCの出荷台数が頭打ちになっていることも大きな理由だ。
多くの企業は、2016年後半の時点ではまだWindows 10に移行していない。日本では、2014年4月のWindows XPのサポート終了時にようやくWindows 7への移行を果たしたが、企業の多くは、既存のPCでOSだけを入れ替えるよりも、新しくPCを購入する際にOSも一新することが多い。
このためWindows 7のサポートが終了する2020年1月に向けて、Windows 10を搭載するPCへの入れ替えが加速していくだろう。企業によっては、Windows XPのサポート終了時に導入したPCのリース契約が2018年〜2019年に終わるため、このタイミングでの切り替えを考えている。2017年は企業ユーザーがWindows 10の導入を検証する期間になるだろう。
Microsoftにとっては、企業がSA(ソフトウェア アシュアランス)契約などでWindows 7にダウングレードして、新規にPCを導入することが大きな障壁になる。
ただ、2016年秋にリリースされたIntelの第7世代Coreプロセッサ以降は、Windows 10しかサポートされない(PCベンダーによっては、Windows 7対応のドライバなどをリリースするかもしれないが)。2020年までというWindows 7のサポート期限も考えれば、今さらWindows 7にダウングレードしてPCを導入するというのは、あまり良い手とはいい難い。IT管理者は、つい今のものをそのまま使いたいという安定志向に走りがちだが、Windows 10に関しては割り切って移行すべきだろう。
2017年はMicrosoftにとって、企業が積極的にWindows 10へ移行するためのモチベーションやメリットを提供していけるかどうかが試される年となる。
関連記事
- 次期Windows 10のCreators Update 3D機能は企業にメリットあり?
Windows 10の次期アップデート「Creators Update」の新機能は一見企業ユースとは無縁だが、意外な可能性を秘めるかもしれない。2017年の展望も占ってみたい。 - Microsoftが世界中のWindows 10でつくるセキュリティ対策の狙い
Microsoftは、世界中のWindows 10から収集する脅威情報をもとにセキュリティ対策を講じる「Windows Defender Advanced Threat Protection」を構築した。これによってセキュリティ対策はどう変わるのだろうか。 - ゼロデイ攻撃も防ぐ? Edgeブラウザのセキュリティ新機能
Windows 10の次のアップデートには、Edgeブラウザのセキュリティを高める「Windows Defender Application Guard for Microsoft Edge」が搭載される見込みだ。この機能はどのようなものだろう。 - Windows 10 Anniversary Updateが公開、企業はすぐ導入すべきか?
Windows 10の公開1周年となる「Anniversary Update」の提供が始まった。企業ではAnniversaryの導入をどう考えるべきだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.