「データを分析したけど、次に何をすればいいか分からない」というアナタへ:DMP成功まで、あと1センチ(9)(3/3 ページ)
DMPを導入すれば、ビジネスにつながる発見が自動的に分かると思っていた――。そんな“夢物語”を抱く人は意外と多いです。出てきたデータから「仮説」を導き出すのはあくまでアナタ。分析したけれど、次に何をすればいいか分からないと悩む人は、ぜひ読んでみてください。
インサイトの発見力は、訓練して身に付けるしかない
さて、この話からあらためて考えるべきは、「なぜインサイトを発見しなければならないのか?」という疑問に対する解です。この連載でもご紹介した、インサイトリサーチのトップランナーであるデコム代表の大松孝弘氏は、その理由について「みんな満たされちゃった時代に、人が欲しいものを能動的に作らないといけないから」だと述べています。
つまり、課題が探す必要がないほど明確で、解決さえすれば良かった時代から、「言われてみればそれ問題だよね!」という課題と、「こうすれば便利じゃない?」という仮説を発見することから始める時代に変わったのです。そのためにインサイトが必要なのです。すなわち、インサイトの発見とは、課題と仮説の発見と同義だと言えます。
「こうしたインサイトの発見力は天性の才能なのか?」と問われることがよくありますが、「そういう面もあるかもしれませんが、ほとんどは後天的な努力で身に付くはず」と答えています。インサイトを発見しようとする経験の積み重ねが、ユーザーに対する理解やノウハウそのものにつながると考えているためです。
従って、インサイトの発見力を鍛えるには、場数を踏むしかないですし、だからこそDMPを使ってPDCAのサイクルを何度も回すことが何よりも重要だと感じています。課題と仮説がデータにそのまま表現されることは極めてまれなことで、データから「もしかして○○で困っている?」と課題を発見する訓練が必須でしょう。
DMPを始める当初は関係者が少ない方が良いといわれていますが、その理由の1つに、周囲があまり気に留めない環境でひたすら試行を繰り返して、失敗も含めて多くの経験を積み重ねたほうが理解とノウハウがたまる場合もある、ということが挙げられます。関係者が増えるほど「失敗は許されない」というプレッシャーが強くなり、経験を積むことができなくなってしまいます。
DMPは「魔法の箱」ではなく「データを集約する単なる箱」であり、そのデータを幾重にも積み重ねて、ユーザーの心理を浮かび上がらせる「魔法使い」は、あくまであなた自身なのです。それを忘れてはいけません。
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