コレ1枚で分かる「ブロックチェーン」:即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)
仮想通貨の根幹として注目を集める分散型台帳技術「ブロックチェーン(block chain)」。その仕組みと検討が進む適用分野などについて解説します。
ブロックチェーンは、ビットコインに代表されるパブリックな取引への適用ばかりではありません。改ざんを困難にする仕組みや、コストの安い低性能なシステムを分散ノードとして使用し、無停止で運用可能なことから、銀行取引や契約などの中核となっている元帳管理に適しているとして、プライベートなシステムでの適用にも注目されるようになってきました。銀行の預金や為替、決済などの勘定系業務、証券取引、不動産登記、契約管理などへの適用についての検討や研究が進められています。
例えば米株式市場のNASDAQは、「ブロックチェーン」を使った未公開株式取引システム「Nasdaq Linq」を発表、また三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、ブロックチェーン技術に強みを持つスタートアップ企業米R3が主催し、英バークレイズ銀行、米シティグループなど世界的大手金融機関22行が参画する「Distributed Ledger Group」に参加、さらにIBMはIoTのスケーラビリティとセキュリティを確保する技術「ADEPT(Autonomous Decentralized Peer-to-Peer Telemetry)」にブロックチェーンの技術を適用するなど、さまざまな取り組みが始まっています。
また国内では、地銀やインターネット専業銀行などを含む42行が参加する「国内外為替の一元化検討に関するコンソーシアム」が発足。複数の中継銀行を経由する必要があるために送金コストが高く、時間もかかっていた海外送金を、ブロックチェーンを使った仕組みで送金側と着金側の決済基盤を直結させ、低コストでかつ24時間リアルタイムに送金・決済できるインフラ構築を目指す取り組みが始まっています。
このようにブロックチェーン技術は、実用に向けたさまざまな取り組みが積極的に進められており、今後ますます注目されるようになっていくでしょう。ただ、金銭に関わる取引や契約などは、高度な安全性や信頼性、可用性が求められることから、実用においては慎重になっていることもまた事実です。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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