「OpenStack」の今日と未来:仮想化&ストレージの基礎と最前線(2/2 ページ)
AWSのようなIaaS基盤を社内システムとして実現できることで注目を集める「OpenStack」について、その利点や企業用途の展望などをまとめます。
国内調査でOpenStackへの期待が上昇中
IT専門調査会社のIDC Japanが発表した調査結果によると、国内企業のITインフラにおけるOpenStackの導入状況は、2016年3月段階では、国内企業459社からの有効回答中、サーバ仮想化実施企業の7.0%が既にOpenStackを本番環境で使用しており、クラウドに近いところに位置するICT関連の企業では40%近くが既に導入に向けて取り組んでおり、OpenStackは完全に研究フェーズから具体的な導入を計画・検討するフェーズへ移行していることが明らかになっています。これまでのOpenStackの研究的な動きから考えるとかなり進化を遂げていることがうかがわれ、日本でも本格的な利用が見込まれる状況になってきていることが分かります。
この調査内容で特に驚かされるのは「既に本番環境で使っている」の回答割合が全体の7.0%となり、前回2015年7月調査時の4.5%から3.5ポイント上昇していることです。「試験的に使用し、検証している」は8.3%で、前回調査と比較して変化が見られませんでしたが、今回の調査では「使用する計画/検討がある」の回答割合が前回調査の5.2%から大きく上昇し17.9%になり、導入に向けて具体的な動きが明確になってきていることが分かります。「OpenStackを知らない」の回答割合は前回調査よりも8.5ポイント下がっていることからも、認知度が上昇してきているといえます。
またこの調査では、OpenStackを本番環境で使用・検証中・計画/検討している企業に対して、OpenStackに期待する効果についての質問をしています。「クラウド基盤の運用の効率化」という回答が25.7%で最も回答が多く、「クラウド環境の構築の迅速化」が21.7%、「アプリケーション開発の迅速化」が21.1%の順になっており、市場ではOpenStackによるクラウド基盤の運用効率化に加え、スピード向上に対する期待が高まっていると状況となっています。さらに「自社エンジニアのスキルアップ」が19.7%と続いており、ICT企業ではOpenStackを通じてエンジニアのスキルが向上することへの期待も高まっているようです。
OpenStackはプライベートクラウドの進展次第の部分も
OpenStackのようなオープンソースクラウドの場合、基本的にはプライベートクラウドでの利用が中心になると予想されますが、今後コスト面でパブリッククラウドとどのように戦っていくかという課題も残りそうな状況です。
ただしプライベートクラウドに一定の市場規模が形成されることになれば、OpenStackもさらに活躍できる場が与えられることになり、世界規模で明るい未来が期待されることになりそうです。
そして、市場の期待の高まりに伴い、サーバやストレージのOpenStack対応も進んできています。例えば仮想化専用ストレージのTintriの場合、Cinder driverによるOpenStackのサポートが始まっています。Cinderボリュームにおいて、ストレージのみならず、サーバやネットワークなどのインフラ全体に渡る稼働状況を見える化することができます。
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