ブロックチェーンは個人情報をどのように守るのか?:Mostly Harmless(1/2 ページ)
医療機関での医療情報共有などに活用する取り組みが出始めているブロックチェーン技術。患者の個人情報を守る仕組みはどのように実現されるのか? Googleの人工知能部門DeepMindの取り組みを例に、考察します。
この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。
AIとブロックチェーンは現代のITトレンドにおいて非常に重要な位置を占めています。AIについては説明の必要もないでしょうが、ブロックチェーンも、こちらでも書いた通り、社会に与えるインパクトはもしかするとインターネット以上ではないかともいわれています。
これら2つの組み合わせの記事がGIGAZINEに出ていました。
内容を読んでみると、人工知能とブロックチェーンは直接には関係ないのですが、いろいろな論点を含んでいるので、ちょっと考えてみます。
医療分野への人工知能適用に対するプライバシーへの不安
記事では、Googleの人工知能部門「DeepMind」のヘルスケア部門「DeepMind Health」がイギリスの国民保健サービス(NHS)と連携し、患者の個人情報をリアルタイムで追跡する新技術「Verifiable Data Audit」の2017年内の開始を予定しているとした上で、「GoogleがNHSの個人情報を持ちすぎる」という批判が起きていると書いています。DeepMindがこれに対応して、個人情報の管理にブロックチェーンを使うことを検討しているというのが記事の趣旨です。
IBMのWatsonもそうですが、医療へのAIの適用はものすごい速度で進んでおり、一方で個人情報の管理に厳しい目が向けられる結果となっているのですね。そこでDeepMindは、ブロックチェーンを応用して信頼性と透明性を担保するという案を提示した、という流れのようです。
ブロックチェーンに個人情報を載せるわけではない?
しかし、ブロックチェーンは、全てのデータを参加者にばらまくモデルです。暗号化するにせよ、個人情報をばらまくのは問題があるのでは? と思ったのですが、記事を読んでもいまひとつ分かりません。仕方ないのでリンクされている原文を読んでみると、
In the long-run, Suleyman says, the audit system could be expanded so that patients can have direct oversight over how and where their data has been used.
Suleyman氏は、長期的には監査システムを拡張し、どこでどのようにデータが使用されたかを患者が直接監視できるようになると述べています。
ということで、どうも個人情報そのものをばらまくのではなく、個人情報へのアクセス記録を分散して管理する、ということのようです。確かにこれであれば透明性を担保できます。
関連記事
- JAXA、Office 365を活用した職員のコミュニケーション基盤を構築
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、職員向けのコミュニケーション基盤「JAXA Sphere」を構築。場所に依存しない柔軟な働き方で業務や研究開発の効率化、スピード向上を支援する。 - 第一生命保険、「健康増進サービス」のクラウド基盤にMicrosoft Azureを採用
第一生命保険は、生活習慣改善をサポートする「健康増進サービス」のシステム基盤として、「Microsoft Azure」を採用。ビッグデータ分析とAIを活用し、顧客の健康リスクを評価・分析し、個々人に最適なアドバイスを提供する。 - 富士通、千葉市でブロックチェーンを活用した地域スタンプラリーの実証実験を開始
富士通が、ブロックチェーン技術を活用した地域スタンプラリーの実証実験を千葉市で実施。千葉県が舞台のライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(俺ガイル)』とのコラボレーションで、地方創生を推進する。 - コレ1枚で分かる「ブロックチェーン」
仮想通貨の根幹として注目を集める分散型台帳技術「ブロックチェーン(block chain)」。その仕組みと検討が進む適用分野などについて解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.