「キーマン」が去ると、プロジェクトが頓挫してしまう理由:DMP成功まで、あと1センチ(13)(1/2 ページ)
DMPの導入や運用もスムーズに進み、一安心……といったところでリーダーが異動。途端にプロジェクトがうまくいかなくなってしまった、という経験はありませんか? 後任の能力などに理由を求めるケースも多いですが、本当の原因はそこにはないのかもしれません。
異動や退職などでプロジェクトの“キーマン”がいなくなった途端に、プロジェクトがうまくいかなくなってしまう――。読者の皆さんにそういった経験はありませんか? これはDMPにおいても例外ではありません。特に導入後の運用フェーズで、以下のような話をよく聞くので注意が必要でしょう。
春の定例人事異動でDMP運用担当チーム長に就任しました。前任者はDMPをうまく使いこなし、デジタルマーケティングだけでなく、リアルイベントやテレビCMなどにも応用しており、今ではちょっとした有名人のようです。
僕もそんなふうに新しいことに挑戦して成功するぞ、と思っていたのですが、なぜだか急に「失敗とはいえないけど、成功ともいえない」という微妙な状況が続いています。何がいけないのでしょう?
なぜ人が代わると、プロジェクトがうまくいかなくなるのか?
このようにプロジェクトがうまくいかなくなると、「トップのリーダーシップがなくなったからだ」「新たな推進役の人間の能力に問題がある」といった“犯人探し”が始まり、やがて「前は成果が出ていたみたいだけど、今は目新しい成果が出ていないし、何より他部署の反感も強い」といった理由で、予算縮小という憂き目に遭うこともあるようです。
他には何も変わっていないのに、人が代わるだけで成功しなくなるという現象が起きれば、誰だって「あのDMPは○○さんの“個人商店”だった」「△△さんにはデジタルマーケティングの荷は重い」とうわさしたくなるでしょう。
しかし、これまで本連載で「データという客観的な事実でインサイトを発見する発想」を学んできた読者の皆さんなら、こうしたうわさを「それは相関関係であっても、因果関係ではないよね?」と一蹴できるはず。今回は、DMPを組織に根付かせるための考え方をお話ししたいと思います。
新しい文化を起こすことと、文化を根付かせる方法は異なる
フィレンツェ共和国の外交官だったニッコロ・マキャヴェッリは、氏の著作である「君主論」の思想に由来して“マキャベリズム”という言葉があるほど、超現実主義者として有名です。私たち組織人にとっては、リーダーシップを語る上で欠かせない人物として取り上げられますが、組織論を語らせても第一級の人物であったことはあまり知られていません。例えば「政略論」には以下の一説があります。
いかに一人の力量豊かな人物が全精力を投入したところで、その投入のたまものを以降も維持していくのは、その他大勢の人間の協力によるのである。そして、この最後のことなしには、国家の存続は保証され得ない。
組織にDMPを導入する際、「DMP」という聞き慣れない単語に触れた、社内の多くの人が「またお得意の3文字英語か!」と嘲笑し、Web独自の製品だろうと距離を置いて様子を見ていたのではないでしょうか。
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