働き方改革を“企業成長の武器”に MSの取り組み、第2フェーズへ:Microsoft Focus(2/2 ページ)
働き方改革担当を務める現役大臣の訪問を受けたマイクロソフトは、あらためて働き方改革への意気込みを語った。自らの取り組みに確かな手応えを得てきた同社が次に目指す“働き方改革2.0”とは?
“働き方改革2.0”とは何か
日本マイクロソフトでは、働き方改革を次のステップへ進める考えを示している。
「これまでは、いつでもどこでも活躍できる環境の実現を目指した働き方改革だった。これからは働き方で自らを改革し、働き方で顧客に対するサービスを向上させることを目指す」(平野氏)
子育てや介護のための制度として活用したり、事業を継続したりするといった狙いだけでなく、働き方改革が企業成長や顧客満足度につながるという考え方への変革ともいえる。
既に日本マイクロソフト社内では、MyAnalyticsの活用を通じて得られる“AIによる気付き”を基に時間の使い方を工夫したり、コラボレーションツールの「Microsoft Teams」を使ってチャットをベースにした組織横断型のコミュニケーションを実現し、共同作業を改革したりといった成果が挙がっており、本社の各フロアに導入した「Surface Hub」も、会議の手法を変えているという。
「例えばMyAnalyticsでは、会議時間内にメールを送信していることが多いと、『義理で招待されていませんか。参加する必要があるかどうかについて主催者に確認してください』といった指摘をAIが行う。働き方を振り返り、改善することで、働き方の質を向上させることができる。自らが働き方を改革していくことができる」(平野氏)
4部門41人が参加したMyAnalyticsを活用した社内検証プロジェクトの最新の結果では、無駄な会議時間を27%削減し、集中して作業する時間が50%増加。合計で3579時間の削減が可能になったという。これを2000人が勤務する日本マイクロソフト全体に当てはめると、年間7億円の残業費用の削減に換算できるという。
社内では、スタンディングスタイルのミーティングの促進や、平日午後8時以降と休日はマネジャー自らがメールを送ることを控え、社員の時間外のメール処理を少なくするといった細かい工夫も実践。働き方改革を習慣化する方向へと社員のマインドを変えようとしている。
さらに同社は、「働き方改革推進会社ネットワーク」(仮称)を設置。参加企業とともに、働き方改革のエコシステムを構築し、同社の経験やノウハウを他社と共有。政府提唱のテレワークデイやテレワーク月間への協力、東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業」に参画したり、東京都の「快適通勤ムーブメント」に協力したりといった取り組みも開始している。
快適通勤ムーブメントでは、協議会のメンバーとして平野社長自らが参加。時差通勤やテレワークの推進を目指す「時差Biz」にも協力する計画だ。社内でも7月から、新たに「日本マイクロソフト働き方改革ムーブメント」を実施する予定だという。
まさに「働き方改革2.0」ともいえる同社の取り組みが広く共有され、今後の日本企業の競争力強化につながることを期待したい。
関連記事
- 連載:「Microsoft Focus」記事一覧
- HoloLensで日本企業はどう変わる? 自民党のIT戦略特命委員長が体験
ヘッドマウントディスプレイ型デバイスを装着すると、現実空間に3Dの物体が浮かび上がり、つまんだり動かしたり、中を見たり、操作したりできる――。そんなマイクロソフトの「HoloLens」を体験した議員たちの感想は? - 時間の使い方を可視化し、AIがアドバイス 「MyAnalytics」は働き方をどう変える?
「生産性の向上に目を向けることなく、単に労働時間だけを減らしても、ビジネスの成長を伴った働き方改革は実現できない」――。そう指摘するマイクロソフトが、AIを使った働き方改革を提案している。その中身は? - MS社長室のスタンディングデスクがもたらした“働き方改革”
社長室突撃企画第1弾。ワークスタイル改革を推進していることで知られる日本マイクロソフトに、“社長室で始まった改革”があるのをご存じだろうか。 - ラックと日本マイクロソフト、「IDベースドセキュリティソリューション」で協業
IDベースのセキュリティソリューションを展開し、ICT環境のセキュリティ強化とデジタルトランスフォーメーションの実現を支援する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.