今さら聞けない、RPAとAI、botの違い:情報インフラ24時 眠らないシステム(1/2 ページ)
これからのITIL活用を考えるときに欠かせないRPA(Robotic Process Automation:ロボティクスプロセスオートメーション)について、似た技術であるAIやbotと比較しながら考察します。
この記事は中寛之氏のブログ「情報インフラ24時 眠らないシステム」より転載、編集しています。
RPA(Robotic Process Automation:ロボティクスプロセスオートメーション)について、ITIL(Information Technology Infrastructure Library:ITサービスマネジメントのフレームワーク)の視点から考えてみたいと思いますが、今回は事前知識として、RPAとは何かについて確認しておきしょう。
RPAに似ている技術として、botとAIがよく引き合いに出されます。全て、「自動的」というキーワードでくくられがちなため、区別なく話題に登場することもありますが、その本質は大きく異なります。
ルールベースのRPA、判断ベースのAI
何かを自動処理させたい場合、「人の手によって処理フローを全て定義するか」「蓄積された内部データと照らし合わせて都度システムが判断するか」のいずれかで実現します。このとき、前者をルールベースの自動化、後者を判断ベースの自動化と呼びます。
判断ベースの自動化では、人の手によってデータ判断ルールを実装する方法と、システム自体がそれ自身で判断ルールを見つけていく方法に分かれます。前者によって生み出された技術の典型例がchatbotであり、iPhoneの「Siri」が該当します。音声を取り込み、それを自然言語処理によって文意を抽出し、パターンマッチングで最適な回答を返します。また、後者はAIという言葉が意味する一般的な対象であり、「IBM Watson」が有名です。
世の中では、機械学習を行うAIまでを含めてRPAとする考え方もありますが、ここでは、狭義のRPAを「ルールベースの自動化」による範囲と定めます。そして、ビジネスの現場で、今、活用が急速に広まっているのは、この狭義のRPAです。
図示すると次のようになります。
※なお、狭義のRPAについては、アクセンチュアの信方章吾氏の記事がよくまとまっていると思いました。
RPA
人間が行うデスクトップ画面上の操作を、ルールに基づいて自動的に再現する技術(ロボティックプロセスオートメーション)です。各システムで操作が閉じることなく、ウィンドウをまたいでコピー、貼り付け、システム間のデータ交換が可能です。RPAを実行するためのシステム環境(OSバージョン、Javaや.NETなどのランタイムバージョン)が保たれるよう、ユーザーやIT管理者によるメンテナンスを必要とします。
RPAの導入企業としては、三菱東京UFJ銀行、オリックス、日本生命保険(ロボ美ちゃん:請求書データ入力に活用)、リクルートコミュニケーションズ(メルマガのコンテンツチェックに活用)、三井不動産リアルティ(スタッフ報告受理対応に活用)などが挙げられます。
bot
人間の会話や行動をシミュレートするコンピュータプログラム(チャットボット)の略称です。chatbotは実際の人と通信しますが、2つのchatbotが互いに通信できるアプリケーションも開発されています。botが動作するためのシステム環境が保たれるよう、IT管理者によるメンテナンスを必要とします。
最近では、AppleのSiriやMicrosoftの「Microsoft Bot Framework」をはじめ、フロムエーの「パン田一郎」、日本マイクロソフトの「りんな」、ヤマト運輸の荷物問い合わせbot、ローソンの「あきこちゃん」などに活用されているLineの「LINE BOT」、CNNなどが利用しているFacebook(Facebookメッセンジャーbot)、LOHACOの「マナミさん」、WOWOWの「コンシェルジュ」、ライフネット生命保険の「ラネットくん」、Clara Labs(Clara)の会議調整botなど、多くのサービスで利用されています。
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