ソフトバンクもAI導入で失敗していた――「3+1の壁」を突破した今だからこそ言えること:SoftBank World 2017(2/2 ページ)
AIを継続的に生かすには「3+1の壁」の突破が欠かせないという。「Softbank Brain」の活用事例から見えてきたものとは。
スマホにインストールされたモバイル業務アドバイザーでは、質問に応じて必要な項目を入力すると、Watsonを介して人間の言葉をシステムが理解する言葉に翻訳し、RPA(Robotic Process Automation)が各システムからデータを集めて整形し、必要な情報が画面に表示される。
会場で行われたデモンストレーションでは、立田氏がアドバイザーの質問に音声やテキストで答えるだけで、端末の3年契約時の金額メニューが表示されたり、評価用のデモ機の貸し出し手続きが行えたりした。
従来、クライアントがテストに利用するデモ機を申請するまでに、慣れた人でも1件あたり19分ほどかかっていた作業が、モバイル業務アドバイザー(Softbank Brain+RPA)の導入で2分21秒まで短縮できたという。
「あくまで1つの例だが、これだけ時間を短縮できるなら、社内に3000人いる法人営業が使ったらすごいことになる。利用者の営業/アシスタントからも高い評価が出るなど、すでに絶大な効果を発揮し始めているが、本当に効果を発揮するのはこれからだと思っている」と立田氏は手応えを語る。
AIソリューションの導入に効く即効薬
「この1年で特に分かったことは、AIはユーザーを含めてみんなで育てていくものだということ。AIは例えるとエンジンであり、我々が手がける通信回線は道路であるが、エンジンを載せる車体やガソリンがないとユーザーは利用できない。そこで何が必要なのか。ソリューションが車に相当するもので、パートナー企業とタッグを組んで多彩な車(AIソリューション)を市場に提供しているのが現状だ」(立田氏)
AIソリューションを導入するコツとして「AIは、とかくトライアンドエラーが多い。鳴り物入りで導入したから、初めから社長などが入ってくるケースが多いが、上長が加わるといろいろな意味で業務が止まるので、まずは部門内で小さく育てて成果が出てから回りに見せるのが一番いい」と立田氏は冗談交じりに語る。そして「(AI導入の)壁は避けられないが、1つ1つ乗り越えればいい。AIを育てる親はユーザーであり、小さく産んで大きく育てていきましょう」と結んだ。
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