国内企業向けモバイルセキュリティ市場は今後5年で2倍、130億円にまで拡大――IDCが予測
国内企業向けモバイルセキュリティ市場をIDCが分析。市場規模は2021年に130億円になると予測。その一方、シャドーITなどのリスクに対するセキュリティが重要になると指摘する。
IDC Japanは9月5日、国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場の2017年〜2021年の予測を発表した。
同社は、企業向けモバイルセキュリティ市場を、モバイルアイデンティティ/アクセス管理、モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理、モバイルセキュリティ/脆弱性管理、その他モバイルセキュリティに分類し、市場規模の算出と市場予測を行っている。
調査によると、2016年の国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場は、前年比16.4%増の65億円だった。同市場の2016年〜2021年の年間平均成長率(CAGR)は14.7%で、市場規模(売上額ベース)は2021年に130億円に拡大すると予測している。
ウイルス対策やフィルタリングなどを含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場は、2016年の市場規模は29億円で、国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場の45%を占める。2016年〜2021年のCAGRは、4つの機能セグメントの中で最も高く、市場をけん引していくと予測する。
さらに、企業におけるクラウドサービスの利用が拡大することで、今後は利便性が高く、モバイルデバイスに最適化されたモバイルアプリケーションの活用が拡大すると予測。グループウェアなどの情報系システムから基幹系システムでの活用も進み、モバイルアプリケーションへのアクセス管理や、アプリケーション間のSSO(シングルサインオン)連携、生体認証やリスクベース認証などを組み合わせた、多要素認証といったアイデンティティ/アクセス管理と、モバイルアプリケーションの脆弱性管理への需要が拡大すると分析している。
また同社は、モバイルデバイスの普及に伴い、シャドーITが発生しやすく、マルウェア感染や情報漏えいのセキュリティリスクが高まる危険性を指摘。これらのセキュリティ脅威を防ぐため、情報資産へのアクセスコントロールやユーザーの挙動分析、アプリケーションの稼働監視など、幅広いソリューションが必要となると説明している。
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