プロジェクトの大敵、「思考停止」の見破り方:プロジェクトマジック(2/3 ページ)
人は無意識に「思考」をサボる言い訳を探してしまうもの。ビジネスの現場でも、あらゆることが「思考停止」の温床になりかねません。よくある思考停止のパターンを知って、対処法を考えましょう。
3. “表面的なCS向上戦略”で考えたつもりに
どんなビジネスでも、“お客さまに満足してもらうことを目指す”のは当然のことです。満足してもらえないと売上が上がらず、ご飯が食べられないわけですから。
そう考えると、CS(顧客満足)向上を事業戦略として掲げるのは、「それ以上戦略について考えるのをサボる言い訳」になりかねないと思うのです。本来は、「どの顧客に、どうやって満足してもらうか?」、そのために「どこを諦めて、何に投資するのか?」といったことこそ、考えるべきでしょう。
CS向上以外にも、本来の意義を忘れ、思考停止の言い訳にされてしまう施策や目標はたくさんあります。
4. 後ろ向きな発言を言い訳に
例えば、採用やマーケティングについて議論していて、「うちは知名度がないからな〜」など、言ってもしょうがないことを言ってしまう人がいます。単なるボヤキならば聞き流せばよいのですが、それを言った本人が、そこで思考停止しているケースがけっこうあります。
「知名度がない」という現状認識があるならば、「知名度を上げるために何に投資するかを考える(時間を投資してPR記事を書いてもらう働きかけをやるなど)」、あるいは「知名度が低くてもビジネスが成り立つ方法を考える」といったことを考えるべきでしょう。
5. 作業に没頭して思考停止
例えばプロジェクトを立ち上げる際には、「この事業の本質的な課題は何だろう?」「何を変えたら業務が劇的によくなるだろうか?」といったことをとことん考え尽くす必要があります。
ここでも、考えるのをサボりたがる人のパターンが見られます。真面目な人に多いのですが、考えることから逃げるために何をするかというと、“手当たり次第、調べる”のです。
「取りあえず現場の意見を聞け」「まずはアンケートやってみよう」「今、やっていることを片っ端から棚卸ししてみよう」などというせりふ、聞いたことありませんか?
業務改革のプロとして言わせてもらうと、何の仮説も持たずに「取りあえず」で現場仕事を調査しても、小さなことしか分からないものです。Webでアンケートを取っても、十分に活用されずに、社内から「何に使うために集めたの?」とボヤかれて終わってしまうケースもあります。
ひたすら情報を集めるといった「没頭できる」作業は、ある意味「逃避」で、やはり思考停止のサインになりやすいのです。
「まずは見積を受け取ってから考えよう」というのも、ほとんど同じかもしれません。金額は選択の1要素でしかなく、見積もりをもらう前に考えるべきことはたくさんあるはずです。そうすれば、ひょっとしたら見積もりを依頼をしなくて済むかもしれません。
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