日立製作所(日立)は11月6日、米国のユタ大学が持つ糖尿病患者の電子カルテデータを機械学習を活用して解析することで、糖尿病治療薬の効果を予測し、比較する技術を開発したと発表した。
患者への投薬開始から90日後の時点で、糖尿病の代表的な指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)値の低減目標(治療目標)を達成できる確率を、薬の種類別に計算し、予測することで、患者にとって最も治療効果が高いと見込まれる薬の選定を支援する。
同技術を用いて、過去の糖尿病患者データでシミュレーションを実施したところ、投薬の効果を高精度に予測できることを確認したという。
現在、米国における糖尿病患者は2310万人にのぼり、65歳以上の4人に1人は糖尿病と診断されているという。糖尿病は、数カ月から数年以上にわたって患者の状態に合わせて薬の種類や量、組み合わせを調整する必要があるため、さまざまな投薬方法が存在する。
日立では、同技術の開発にあたり、ユタ大学が有する匿名化された約9000症例の糖尿病患者の電子カルテデータのうち、約6800症例のデータを基に、薬の種類、量、投与期間、体重、検査値の推移などを時系列的に解析。その結果得られたさまざまな情報を機械学習の技術を用いて分析し、患者ごと、薬の種類ごとにHbA1c値を低減できる確率を予測できるモデルを構築した。
これにより、米国で標準的な通院間隔である投薬開始90日後の治療結果を薬ごとに予測し、比較可能となるため、患者の特徴や状態に合わせた最適な薬の選択や判断を支援するという。
日立は今後も引き続き、ユタ大学と協力して同技術の実用化に向けた共同研究を行うとしている。
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