「RPAが人間の代わりに働く」とは、どういうことなのか:RPAで始める業務自動化のススメ(2)(2/3 ページ)
人間の代わりに働いてくれるソフトウェアロボット。前回の記事では、RPAをそのように説明しましたが、まだ発展途上の技術であるためか、その能力を誤解されているケースが多々あります。今回はRPAの特長と限界を、人間に置き換えて説明します。
ロボットが“理解”できないことを把握する
では次に、Aさんにお願いする仕事を決めたら、あなたはどうやってそれをAさんに伝えるでしょうか。
業務指示書や作業手順書といったドキュメントがあれば、それを読んでおくように指示すると思います。Aさんの前であなたがその業務を実演するかもしれません。
RPAの場合も同様で、そういうドキュメントをソフトウェアが解釈可能な形に変換して動かすほか、まさに新人に教えるように、一から操作を実演し、それを記録(レコーディング)してロボットに再生させることが可能なソフトウェアもあります。どのような方法があるかはソフトウェアの機能に依存しており、それがRPAソフトウェアの選定における基準の1つになるでしょう。
こうしてロボットに作業を教え込む際にも、注意すべき点はあります。例えば、毎日実施するルーチン作業を教えるとき、「今日」や「昨日」などの“相対的な”日付を入力する場面があったとしましょう。
人間に作業を教える場合、「ここには昨日の日付を入力するんだよ」などと教えれば、日々「昨日」や「今日」の日付を入力するでしょうが、先ほど挙げたレコーディングのような方法で、ただ単に作業を記録しただけだとどうなると思いますか? ロボットは入力した数値に対する意味(昨日の日付)を理解できず、レコーディングの際に入力した日付を毎日入力してしまうでしょう。
これはとても簡単な例ですが、ロボットを動作させる場合、こういった「状況や条件、環境によって変わること(値)」を、変わるもの(変数)としてきちんと定義し、伝えることが必要になります。人間であれば、当たり前のように無意識で処理していることが、ロボットに任せる場合は、それを明文化しなければ、人間が望んだようには動かないのです。
この例の場合、日付を入力した部分が実行した日時によって変わるよう、レコーディングの結果に、後から手を加えなければなりません。こうした技術的な内容は、別の回で扱いたいと思いますが、RPAも他の機械の例に漏れず、人間の思惑に対して“忖度(そんたく)”してくれるような能力はないのです(少なくとも現時点では)。
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