Microsoft 365とAzureを導入した佐賀の小学校 タブレットフル活用の授業を見てきた:教員の“長時間労働”も解消?(2/3 ページ)
佐賀県にある小中一貫校が「Microsoft 365 Education」を採用。Windows 10とOffice、Microsoft Azureを使い、新たな学校教育と教員の働き方改革を進めていくという。実際に小学5年生の授業を見ると、教育における「デジタル化」の威力が伝わってきた。
Microsoft Azureで教員の「働き方改革」を進める
一方、教職員の働き方改革については、成績処理や事務処理などができる校務支援システムやグループウェアをMicrosoft AzureのIaaS上に構築し、2018年2月から運用を開始する。本システムは、多久市の全小中学校が共同で使うもので、情報共有を進め、クラウド上で教材を共有することで、教員の授業準備の負荷を低減するという。
2018年度には、クラウド経由で教職員が自宅から仕事ができるテレワークも始める。校務を効率化し、時間外労働を削減することが狙いだ。
「教職員の負担を減らし、子供と向き合う時間をもっと確保したい。現在は半数弱の職員が月に80時間以上の残業をしており、これをゼロにするのが目標。テレワークの使い方としては、感染症や事故などで、教員が出勤できなくなった際に、自宅から宿題を出したり、具合が悪くなって早退したりした教員が、Skypeを利用して会議に出席するといった使い方を想定している」(多久市教育委員会 田原優子教育長)
今回構築したシステムは、文部科学省が2017年10月18日に公表した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に基づき、授業で児童生徒がアクセスする「学習系クラウド」と、教職員が校務で利用する「校務系クラウド」を完全に分離している点が特徴だ。
両者にアクセスする回線を分け、校務用のシステムにはRDS方式の仮想デスクトップでアクセスする仕組みを採用した。児童や生徒の個人情報や成績情報、試験問題といったデータはローカルにコピーできない。校務用と学習用両方でパブリッククラウドを採用したのは、国内では初めてだという。
「クラウド活用で意識したのは、教育ICT環境のスクラップ&リビルド。コンサルティングとして関わるなかで、オーバースペックであったり、必要ないと判断したりしたものは、大胆に削っていった。目的に沿って棚卸しからスムーズに進められたのは、学校と市、そして教育委員会の間でしっかりとした合意形成ができていたからだと考えている」(ソフトバンク コマース&サービス ICT事業本部EM本部 エデュケーションICT推進室 室長 古泉学氏)
同日行われた発表会では、実際にWindows 10やOfficeを使った、小学5年生の授業の様子も公開された。
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