東京海上日動にある「若者しかいない」開発部門――メンバーは全員20代、入社5年目未満(1/4 ページ)
管理職を除く全員が20代で、入社5年目未満だけ――東京海上日動システムズのアプリケーション開発部門は一風変わった組織だ。理系男子から文系女子まで、その出自やスキルもさまざま。これで本当に仕事は回るの……?
金融系のシステム子会社、そのアプリケーション開発部門――と聞くと、30代や40代のスタッフが中心の組織を思い浮かべる人が多いだろう。
しかし、国内最大の損害保険グループである東京海上日動火災保険のシステム子会社「東京海上日動システムズ」の開発部門は一味違う。なんと、管理職を除いたスタッフの全員が20代。しかも入社5年目未満の若手ばかりなのだ。約40人のこの組織は、理系や文系、そして、入社時にはPCの操作すらおぼつかなかったという女子(!)まで、バラエティーに富んでいる。
「彼らは年齢こそ若いですが、技術的面ではどの部署にも負けないレベルです」――。部長としてこの部署を率いる山田文彦さんは、こう話す。
この若者だらけの部署はどのようにして生まれたのか。そして、どのように部署をマネジメントしているのか……というか、本当にいろいろ大丈夫なの? 山田さんと若き仲間たちにその実情を聞いてみた。
ある日を境に上の世代がごっそり異動 若手だけで仕事を回す組織に
損害保険といえば、自動車保険や火災保険などがメジャーだが、東京海上グループではそれ以外にもあらゆるリスクに備えた保険を取り扱う。山田さんが率いる「システム開発本部 アプリケーション開発部」では、そんな多種多様な保険にまつわる処理の内製開発を担っている。
山田さんが部長に着任したのは今から4年ほど前のこと。当時は30代や40代のスタッフもおり、“若手だけ”の部署ではなかった。大規模なシステム開発が主なミッションで、フェーズを分けて開発をしていたという。フェーズが進んでいく中で、「若手だけでもできる」と踏んだ山田さんは、なんと翌年に4年目以降のメンバーを次々と他部署に異動させてしまった。
その当時、入社2年目だったという古澤直人さんは、「上の世代がごっそりいなくなり、最初は分からないことが多くて不安だった」と振り返る。一方、山田さんは、ある程度の混乱を想定しつつも「異動したメンバーも社内にいるんだから聞きに行けばいい」と楽観的に構えていた。果たして、半年も経てば残されたメンバーだけで仕事が回るようになったという。
そんな古澤さんも今では4年目となり、部署内では最年長クラスになった。今では後輩を誘ってハッカソンに参加するなど、部を引っ張る存在だ。現在はデジタルイノベーション推進部も兼務しており、ゆくゆくは新規事業に携わるエンジニアになりたいという。
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