豚舎のリアルタイム監視にBI活用――協同ファーム、豚舎管理にクラウド型BIツールを導入
給水量や餌の供給量、温度・湿度・CO2といった豚舎を管理するIoTデータを収集、活用する基盤を構築した。
ウイングアーク1stは4月27日、宮崎のブランドポーク「まるみ豚」を生産・販売する協同ファームが、豚舎を管理するIoTデータの活用基盤として、同社のクラウド版BIサービス「MotionBoard Cloud」を採用したと発表した。
協同ファームでは、豚舎に自動給水器や自動給餌器、スクレッパー方式の自動除糞装置などの設備を導入しているが、設備の老朽化による水道管からの水漏れや除糞装置のケーブルの切断、排水管の詰まりなどの故障やトラブルが頻繁に起こり、従業員はそのつど、補修や後始末などの予定外の作業に追われるという課題を抱えていた。また夜間に問題が発生すると、半日近く設備トラブルが放置されてしまうこともあったという。
そこで、IoTを活用した“養豚のスマート化”を目指して、各豚舎の要所にセンサーを配備し、「給水量」「餌の供給量」「集糞・浄化槽の稼働状況」「温度・湿度・CO2」をモニタリングし、異常の際には従業員のスマートフォンにアラートを通知するシステムを構築し、実証実験を行ってきた。
同システムでは、センサーから集められたデータは、Bluetoothなどでいったんゲートウェイに集められ、さらにソラコムのクラウドアダプターサービス「SORACOM Funnel」経由でMotionBoard Cloudに集約。MotionBoard CloudのBIダッシュボードで、各データをリアルタイムで可視化できるようにした。
また、ビジネス版LINEの「LINE WORKS」と連携し、あらかじめ設定したしきい値を超える異常が起きた際には、全従業員のスマートフォンにアラート通知が送信される仕組みを実装した。
さらに、MotionBoard Cloudに集められたデータは、毎日1回のサイクルで「AWS(Amazon Web Services)」のデータウェアハウス「Amazon Redshift」に自動転送され、長期間の時間軸で行う分析に役立てるために蓄積されるようにした。
協同ファームでは、MotionBoard Cloudによって設備の稼働状況を可視化できるようになったことで、現場作業への効果を確認。例えば給水量が可視化されたことで、養豚場全体の水の流れを把握し、異常発生時の迅速な対応が可能になったという。
さらに、集糞装置の稼働状況の可視化によって豚舎内を常に清潔な状態に保つことができ、温度・湿度・CO2の常時監視によってこまめな換気量の調整で豚に最適な環境を提供することが可能になった。
また、MotionBoard Cloudのダッシュボード上で給水量の変化を時系列で見ているうちに、1日の中での豚の活動パターンを推測できるようになるなど、新たな気付きも生まれていると説明する。
協同ファームでは、2018年5月に新豚舎を開設すると同時に、同システムの本格導入を開始する計画だ。同システムの導入で従業員の作業負担を軽減し、より多くの手をかけるべき豚の健康管理や体重管理などの肥育業務に注力できるようになると期待する。
本格導入の際は、実証実験の結果を踏まえ、より高精度なデータを収集すべくセンサーの数を増やす予定だという。また、実証実験では対象外だった「飼料タンクの重量(残量)管理」「空調システム」「公害防止のための脱臭装置」「豚のふん尿から堆肥をつくる発酵装置」などの稼働管理についてもIoT化を進めていくとしている。
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