市街地データのエッジ分析で事件や事故を早期検知――米ラスベガスでNTTとDellが共同実証
NTTグループと米Dell Technologiesが、米国ラスベガス市で事件や事故をAIで予測・検知する「公共安全ソリューション」の共同実証実験を開始する。センサーに近いマイクロデータセンターでのエッジ分析により、インシデントの迅速な検知と対応を実現する。
NTTグループ(NTT、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、ディメンションデータ)と米Dell Technologiesは2018年5月1日(米国時間)、米国ラスベガス市の市街地で、2018年9月から約2カ月間、「公共安全ソリューション」の実用化に向けた共同実証実験を開始すると発表した。両社は、2018年冬をめどに、米国を含む世界の都市で同ソリューションの商用展開を予定している。
今回、実証実験を行う公共安全ソリューションは、複数のセンサーから取得するデータをNTTグループのAI技術「corevo」で分析することで、事件や事故を予測する「プロアクティブレポート(トレンド分析)」と、事件や事故への対応を支援する「リアクティブレポート(エッジ検知)」を行うもの。これらを基に、警官や消防車の派遣など、迅速な対応を実現する。
具体的には、プロアクティブレポートは、センサーからの情報を集約し、群衆の動きや量、交通状況、周辺での事件性の高い音声などの情報に加え、気候データやSNS情報なども活用し、corevoで高度なトレンド分析を行い、事態の深刻度や事件性の有無を予測分析する。
リアクティブレポートは、センサーに近い場所にあるマイクロデータセンター(エッジ)でcorevoを活用して、群衆の動きや量、危険車両の動き、顔認証や画像解析による指名手配犯や盗難車両のリスト照合、銃声や叫び声といった事件性の高い音声などの周辺状況を常時監視する。センサー付近のエッジで検知することで、インシデント発生後の迅速な検知と当局への通報を可能にするという。
同ソリューションでは、センサーデータを分析、活用する基盤として「コグニティブ・ファウンデーション」と呼ぶ、NTTのデータセンター(クラウド)、顧客企業のデータセンター(コアとエッジ)やセンサーなどのICTリソースから構成されるシステムを構築。クラウド、ネットワークサービスに加え、顧客企業のICTリソースを含めた構築、設定、管理、運用を一元的に提供する。
コグニティブ・ファウンデーションでは、センサーに近いマイクロデータセンター(エッジ)と、顧客企業のデータセンター(コア)に分析環境を配置し、エッジでの分析で得られた結果や、さらなる分析が必要なデータだけがコアに転送される仕組みを採用。これにより、マルチドメイン、マルチレイヤー、マルチサービス/ベンダー環境における迅速なICTリソースの配備とICTリソース構成の最適化を実現できるとしている。
なお、実証実験では、Dell Technologies(Dell、Dell EMC、VMware)は、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ、IoTゲートウェイ、サーバ、ストレージ、関連インフラ、NFV(Network Function Virtualization)、IoTソリューションを提供する他、レファレンスアーキテクチャの構築を支援する。NTTグループ(NTT、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、ディメンションデータ)は、コグニティブ・ファウンデーション、AIによる音声や画像などのマルチメディアデータ分析技術を提供する他、ソリューション全体のシステムインテグレーションとラスベガス市との各種調整を担当する。
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