シリコンバレー流アジャイル開発を体得――富士通がPivotal協業で新サービス(1/2 ページ)
富士通とPivotal ジャパンがデジタルビジネス領域で協業。企業がアジャイル開発を推進するためのインテグレーションサービスを提供する。シリコンバレー流のアジャイル開発手法を体得できるワークスペースも。
富士通とPivotal ジャパンは2018年5月10日、デジタルビジネス領域で協業すると発表。アジャイル開発と親和性の高いクラウドネイティブ基盤ソフトウェア「Pivotal Cloud Foundry」を活用したインテグレーションサービスの提供を2018年度第2四半期から開始する他、2018年度下期にはアジャイル開発手法などを用いて新たなサービスや事業を開発する場として「富士通アジャイルラボ(仮称)」を富士通ソリューションスクエア(東京都大田区)内に開設するという。
急激に変化するビジネス環境に素早く対応するため、開発手法としてアジャイルの適用ニーズが高まっている。その一方で、アジャイルのようなデジタル変革では企業でのデジタル関連スキル保有者の不足、何か始めようと思ってもなかなか意識改革ができないといったマインドの壁、最新デジタルテクノロジーへの目利きと有効活用がうまくできないといった課題があった。また、アジャイル開発を進めるに当たって従来の“請負開発”というやり方ではどちらかがリスクを負うため、請負型ではない新しい関係の構築も求められている。
富士通ではデジタル化時代のインテグレーションコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」を提唱し、顧客との共創による新たな価値創造や企業のデジタル化を推進してきたが、今回のPivotalとの協業はそれを具現化するものだ。
富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクトの中村記章氏は「デジタル変革では“人材”“技術活用”“開発パートナーとの関係”という3つの共通課題がある。Pivotalとの協業は、これまでの共創の取り組みや技術コンサルを強化・継続するとともに、アジャイルでの課題解決を促進するためのもの」と説明する。
アジャイル開発というとSoE(Systems of Engagement)領域での活用が多いが、今回の協業ではSoEに加えてSoR(Systems of Record)領域へも拡大しようという点が、基幹システムに強い富士通ならではの特徴だろう。SoR領域でのデジタル革新に向け最適化したアジャイル開発技術・方法論と管理手法――、いわゆる「エンタープライズアジャイル」で基幹システムのモダナイゼーションを加速させていくという。
「アジャイル開発のメリットである柔軟性や短期開発を生かしつつ、基幹システムに求められる品質や性能、セキュリティ要件にもバランスよく対応するのがエンタープライズアジャイル。基幹システムに対する知見とアジャイル開発プロセスの融合が求められるが、これには富士通が長年培ってきたSIのノウハウを十分に注入し“しっかりと基幹システムに対応できるアジャイル”を目指す」(中村氏)
今後の取り組み(ロードマップ)としては、顧客システムの全体最適化を実現するサービスを段階的に提供する予定。第1ステップとしてつながるシステム(SoE)の対応強化(マインド変革&スキルアップ)を2018年度から、第2ステップとして基幹システム(SoR)の最適化を2019年度から行い、最終ゴールとしてSoE&SoRの全体最適化を掲げている。
この第1ステップの実践と第2ステップの実現において、富士通がパートナーとして選んだのがPivotalというわけだ。「Pivotalが持つグローバルで培われたアジャイルの開発方法論や体験型の教育、コンサルサービス、クラウドネイティブ基盤ソフトウェアといった技術・手法ノウハウを富士通へ展開し、SoE取り組みの強化とSoRの最適化を目指し、リーンな実行と改良を実践するためのお客さまとの新しい関係を構築する」(中村氏)。
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