AIやRPAで帳票処理を自動化する「AORソリューション」 みずほFGが開発
みずほフィナンシャルグループは、AIベンチャーのギリアらと共同で、手書き帳票を高精度にデータ化するシステムを開発した。グループ企業に導入して事務処理業務の効率化を図る他、金融機関や事業法人向けサービスとして事業化を進める。
みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)は5月24日、Blue Lab、シグマクシス、ギリアと共同で、AI(人工知能)、OCR(文字認識技術)、RPA(ロボットによる業務自動化)を活用した帳票のデータ化ソリューションを開発し、実証実験に成功したと発表した。手書き帳票や非定型帳票の事務処理を効率化する「AORソリューション」として、実用化を進める。
AORソリューションは、AI、OCR、RPAを組み合わせたシステムで、手書きの帳票や非定型帳票を読み込み、文字情報をデータ化した上で、銀行の口座データと照合して正否確認も行う。
みずほFGは、「同ソリューションにより、従来は手作業を必要としていた手書き帳票や非定型帳票などの事務処理業務を自動化でき、業務効率の向上が見込める」としている。数カ月にわたって同グループ内部で行われた実証実験では、手作業による事務処理の8割を削減できたという。
AORソリューションのシステムは、シグマクシスのドキュメント自動入力プラットフォーム「ディープシグマDPA」を基に開発された。ディープシグマDPAは、レイアウト認識にAIベンチャーのギリアが開発したディープラーニング画像認識モデル、文字認識にOCR各社の先端文字認識エンジン、項目補正にシグマクシスが独自開発した辞書プログラムを採用し、自動入力のRPA機能を組み合わせて構成。高精度な読み取り機能やディープラーニングによる精度向上機能などを備える。
みずほFGでは、今後、AORソリューションを子会社のみずほ銀行に適用し、業務改善を図るとともに、順次グループ内各社の同種業務にも導入を進めるという。
また、金融機関や事業法人向けソリューション提供の事業化にも着手する。みずほFG、Blue Lab、ギリアなどが出資する新会社の設立も視野に、サービス展開を進める方針だ。
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