データ復旧企業の「ひとり情シス」、ほぼ半年で基幹システムを刷新するの巻:【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(4/4 ページ)
「ひとり情シス」であるにもかかわらず、基幹システムの刷新を任され、半年でやり遂げたという情シスがいる。「営業以外は一通りやった」というほど、部署を転々とした彼は、どのようにしてこのプロジェクトを乗り切ったのだろうか。
新しい環境や仕事が、新しい発想につながっていく
今後はマーケティングの領域に踏み出し、データのバックアップなどの事業とのクロスセールスを促すようなシステムを開発し、「事業の成長につながるような動きをしていきたい」と話す趙さん。社内で下請けのような立ち位置ではなく、自ら仕組みを作って会社に貢献する――これがポリシーなのだという。
エンジニアからカスタマーサポート、マーケティング、経営企画とさまざまなポジションを渡り歩く中で、見えてきた課題を全てSalesforceに注ぎ込んできたが、ITを使って変えようする対象も、HDDからサービスのユーザー、そして会社のビジネスへと変わってきた。
「数字集計のシステムを作ったときも、システムを作ることが目的になっていたのかもしれません。経営の人たちから見れば手段にすぎなかったものが、目的になっていたのではないかと。今はやっと彼らと目的が同じになり、手段の一つとしてITを使おうという考え方に変わってきたのだと思います。
Salesforceというツールを持ったことで、選択の幅が大きく広がりました。売り上げを増やすこともできれば、コストも下げられるし、内部統制を整えることもできる。じゃあ何をやるのか、それを具体的にどうやってやるのかというのは、もう選択の問題ですよね。つまりはその全てが“手段”だということです」(趙さん)
内部統制に手を付け始めた今、趙さんは法務や監査と一緒に仕事をしているという。また新たに学ぶことが増えたが、自身の業務にとっては大きなメリットだと感じているようだ。新しい環境や技術を体当たりで会得し続ける、これが1人でも基幹システムの移行プロジェクトをやり遂げる原動力になったのは間違いないだろう。
「新しいものを勉強すれば勉強するほど、新しい発想が出てくるんです。Salesforceもそうでしたが、機能を知れば、それをどう生かすかを考えちゃうんですよね。アップデートのたびに勉強することになりますし、どんどん沼にハマっていくような感じなのかもしれませんが(笑)」(趙さん)
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