「Azure Sphere」はIoTセキュリティにPCの知見を持ち込むのか?:Mostly Harmless(2/2 ページ)
Microsoftならではの知見が詰まったIoTセキュリティを提供する「Azure Sphere」は、LinuxベースのセキュアOSを採用している。そこに見る、Microsoftのプラットフォーム戦略とは?
全てを包含したプラットフォームを提供
ところでこのAzure Sphereで使われているセキュアOSは、Linuxベースで、「Windows IoT」とは別系列のOSになるのだそうです。
「MicrosoftがLinuxを出すなんて!」ということについては、以前書きましたが(「もはやOSは収益源ではない Microsoftが目指す「脱」OSとは」)、それだけではなく、Windowsをすでに投入しているマーケットに真っ向から競合するLinuxを出すというのも、なかなかすごいことです。これは、裏を返せば、「目的達成のためにはハードウェアだろうが、Linuxだろうが、何でも面倒見るぞ」ということでしょう。このあたりが、以前のMicrosoftと違うところのようです。
“「脱」OS”についての記事にも書きましたが、MicrosoftはもうWindowsに過去ほどのこだわりは持っていないのでしょう。サティア・ナデラ氏は、CEO就任直後のイベントでこのように語ったとされています。
Microsoftのビジネスとは他の人々にソフトウェアなどのプロダクトを開発する力を与えるところにある。単にわれわれのプロダクトだけが問題なのではない。(出典:TechCrunch Japan記事)
つまり、WindowsだのLinuxだのMacだのと言わずに、自社製品であろうがなかろうが、全てを包含したサービスを提供する、そしてマルチプラットフォームを最も効果的・効率的に使いこなせるプラットフォームを提供していくということが、Microsoftの戦略である、ということなのではないでしょうか。この4年間のMicrosoftの戦略を見ていると、そこから全くブレていないことが分かります。
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