「理想ドリブン」で考える――世の中に新しい価値を生み出す秘訣:「3か月」の使い方で人生は変わる(2/2 ページ)
「クラウド会計ソフト freee」を開発するとき、創業メンバーは「専門知識がないから難しい」などとはは考えず、開発するうえでの理想的な状態を考えたという。新しい価値を世の中に生み出すとき、鍵となるのは、経験ベースや現実ベースではなく、理想ベースで考えてみること。そのために必要なマインドセットとは。
考えるべきは「理想」や「本質的な価値」
freeeでは、まず考えるべきは「理想」や「本質的な価値」であって、そのためには何でもチャレンジしてみようという文化が創業時からある。これは、freeeという会社の最大の強みだと自負している。
普通は会社にとって、「今、自分にできる貢献は何か?」と考えるかもしれないが、別に「今の自分にできること」にとらわれる必要はまったくないと思う。特に日本はすごく経験を重視する国だから、「理想ドリブン」で考えづらい部分はあるかもしれない。「前職はこうだった」と言って、経験ベースでものごとが進んでいくことも多い。
そんな「経験ベース」で考える「思考のクセ」みたいなものが、自分でも気付かないうちに自然と身に付いてしまっている人は、意外と多い。そういう人こそ、「自分は経験がないからできない」ではなく、「理想までの溝を埋めるためには何が必要だろう」と考えることが大切だ。そう考えられるかどうかで、成果や自身の成長にも大きな差が生まれてくるはずだ。
もちろん、現実社会では妥協しなきゃいけない場面がたくさんある。しかし、理想を軸に考えるクセを付けけていけば、自分の能力を自分で制限することはなくなるだろう。思考の枠がもっと広がるし、視野も開けるし、何より理想と現実の差が分かると、理想に近づくために自ら前に進むための努力もするようになる。
そうすれば、自分にできることが増える。可能性も広がる。結果的に、生み出せる成果のインパクトも大きくなるはずだ。思考のクセひとつで、成果が大きく変わることも、僕自身が実感している事実だ。
●ポイント:
最初は「現実ベース」ではなく、「理想ベース」から
著者プロフィール:佐々木大輔(ささき・だいすけ)
freee(フリー)創業者・代表取締役CEO。1980年東京生まれ。一橋大学商学部卒。大学在学中に派遣留学生として、ストックホルム経済大学(スウェーデン)に在籍。また、インターンをしていたインターネットリサーチ会社のインタースコープ(現・マクロミル)では、データ集計システムやマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は、博報堂でマーケティングプランナーとしてクライアントへのマーケティング戦略の立案に従事する。その後、未公開株式投資ファーム・CLSAキャピタルパートナーズでの投資アナリストを経て、ALBERTの執行役員CFOに就任。2008年にGoogleに参画。日本におけるマーケティング戦略立案、Googleマップのパートナーシップ開発や、日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括などを担当。中小企業セグメントにおけるアジアでのGoogleのビジネスおよび組織の拡大を推進した。
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