世の中に「インパクト」を与えられるか――イノベーションを推進するマクロな視点の養い方:「3か月」の使い方で人生は変わる(2/2 ページ)
「3か月ルール」を積み重ね、イノベーションを実現するのに欠かせない、「世の中へのインパクト」を見通すための視点とは。
「世の中へのインパクト」がイノベーション推進の決め手に
これまで、日本の中小企業においては、新しいテクノロジーの導入は難しいので敬遠されがちだといわれていた。しかし、少なくとも経理業務がインターネットとAIの活用で簡単になることが当たり前となれば、中小企業にとってあらゆる分野でテクノロジーは非常に親しみの持てる存在になるだろう。
それに、まだ誰も取り組んでいないことだったから、やる意義も強く感じていた。たとえ失敗したとしても、そこからの学び自体、世の中への重要なインパクトになるだろうと思っていた。
このような思考を経て、「起業」が最も世の中に貢献できて、僕自身もしっくり納得できるかたちだと思うようになった。だから、グーグルを辞めて、その先のステップとして、freeeという会社を創業したのだ。
そんな僕の考えもあってか、freeeでは、会社内の評価制度も、「社会に対するインパクトを問う」企業文化がある。人事評価においては、その人がどういうアウトプットを出したのか、それは世の中に対してインパクトがあるものだったか、という点をすごく重視し、「インパクト・レビュー」という制度として運用している。
営業がどれくらい売り上げたか、という定量的な目標設定が世の中では一般的かもしれないが、freeeではそこばかりを重視していない。もちろん、事業部として定量的な目標はある。ただし、「世の中や組織にどんなインパクトを出せたか」という部分に、よりフォーカスを当てて、人事評価をしている。
日々進化する新しいテクノロジーを、日本のスモールビジネスに携わる人たちに、いち早く提供し、導入してもらうために。バックオフィスの手間から解放されて、できるだけ本業である「創造的な活動」に専念してもらうために。数字以上に大切な本来の目的を見失わないためにだ。
これは会社の目標にかぎった話ではない。個人的な目標でも「世の中へのインパクト」というマクロな視点で考えた方が、きっとモチベーションや行動の質は上がるはずだ。
●ポイント:
長期的なゴールは「世の中にどれだけ貢献できるか」
著者プロフィール:佐々木大輔(ささき・だいすけ)
freee(フリー)創業者・代表取締役CEO。1980年東京生まれ。一橋大学商学部卒。大学在学中に派遣留学生として、ストックホルム経済大学(スウェーデン)に在籍。また、インターンをしていたインターネットリサーチ会社のインタースコープ(現・マクロミル)では、データ集計システムやマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は、博報堂でマーケティングプランナーとしてクライアントへのマーケティング戦略の立案に従事する。その後、未公開株式投資ファーム・CLSAキャピタルパートナーズでの投資アナリストを経て、ALBERTの執行役員CFOに就任。2008年にGoogleに参画。日本におけるマーケティング戦略立案、Googleマップのパートナーシップ開発や、日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括などを担当。中小企業セグメントにおけるアジアでのGoogleのビジネスおよび組織の拡大を推進した。
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