ディープラーニング、IoTプラットフォームは「過度な期待」の時期に ガートナー、「ハイプ・サイクル2018」を発表:『ビジネス2.0』の視点
米調査会社のガートナーが2018年8月16日、先進テクノロジーのハイプ・サイクル 2018を発表。ディープラーニング、IoTプラットフォームは「過度な期待」の時期にきているという。
この記事は林雅之氏のブログ「『ビジネス2.0』の視点」より転載、編集しています。
米調査会社のガートナーは2018年8月16日、「先進テクノロジーのハイプ・サイクル 2018(Hype Cycle for Emerging Technologies, 2018)」を発表しました。
過度な期待のピーク期にきているのが自律モバイルロボット、ブレインコンピュータインタフェース、スマートワークスペース、バイオチップ、デジタルツイン、ディープニューラルネット、カーボンナノチューブ、IoTプラットフォーム、バーチャルアシスタント、幻滅期にあるのがコネクテッドホーム、自律走行(レベル4)、複合現実(MR)、スマートファブリック、拡張現実(AR)となっています。
一方、黎明期には量子コンピューティング、AI PaaS、ディープニューラルネットワーク向けASIC、スマートロボットが挙がっています。
なお、ガートナーでは、2000超の技術を分析した上で、5つの先進技術トレンドにまとめています。
- Democratized AI(AIの大衆化)
AIテクノロジーは今後10年間で、ほぼどこにでも存在するようになるでしょう。AIテクノロジーを早期に採用した企業は、新たな状況に適応し、未知の問題を解消できるようになります。また、AIテクノロジーが一般に利用されるようになり、「AIの民主化」が起こります。クラウドコンピューティングや「作り手」のコミュニティー、オープンソースといった動向やトレンドが発展し、最終的にAIは誰もが使えるものになるでしょう。
このトレンドは、AI PaaS(サービスとしてのAIプラットフォーム)、汎用AI、自律走行(レベル4/5)、自律モバイル・ロボット、会話型AIプラットフォーム、ディープニューラルネット(ディープ・ラーニング)、空飛ぶ自律走行車、スマート・ロボット、仮想アシスタントによって実現されるでしょう。
- Digitalized ecosystems(エコシステムのデジタル化)
先進テクノロジーはそれを実現する基盤の確信を必要とします。この基盤が十分な量のデータ、高度なコンピューティングパワー、ユビキタスに対応したエコシステムを提供します。コンパートメント化された技術インフラを、エコシステムに対応したプラットフォームへ確信させることで、人とテクノロジーを橋渡しする全く新しいビジネスモデルの基盤を形成するのです。
このトレンドは、ブロックチェーン、ブロックチェーンによるデータセキュリティ、デジタルツイン、IoTプラットフォーム、ナレッジグラフによって実現されるでしょう。
- Do-it-yourself biohacking(自前のバイオハッキング)
あと10年もすれば人類は、トランスヒューマン時代に突入するでしょう。生活スタイル、関心事、健康上のニーズに応じてバイオハッキング(遺伝子実験)が可能になります。バイオハッキングは「テクノロジーの強化」「ニュートリゲノミクス(栄養ゲノム学)」「実験生物学」「グラインダーによるバイオハッキング(人体への電子機器の埋め込み)」という4つのカテゴリーに分類されます。一方で、このようなバイオハッキングの用途に対し、社会の受け入れ体制はどの程度整っているか、また、どのような倫理的問題が生じるかについてはいまだに疑問が残っています。
このトレンドはバイオチップ、バイオ技術(バイ要素しく/人工生体組織)、ブレインコンピュータインタフェース、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、スマートファブリックによって実現されます。
- Transparently immersive experiences(透過的な没入型エクスペリエンス)
テクノロジーは今後もさらにPeople Centric(人中心)の原則にのっとったものとなり、人、ビジネス、モノが透過的に関係するレベルに至ると思われます。テクノロジーの適用範囲が広がり、われわれが活動する生活空間やワークスペースがスマート化されます。
このトレンドは、4Dプリンティング、コネクテッド・ホーム、エッジAI、自己修復システムテクノロジー、シリコン負極電池、スマートダスト、スマートワークスペース、立体ホログラフィックディスプレイによって実現されます。
- Ubiquitous infrastructure(ユビキタスインフラ)
インフラストラクチャはもはや組織の「お荷物」でも、目標の達成を阻むものでもありません。クラウドコンピューティングとそれに類する多くのテクノロジーが登場し大衆化したことで、時間を問わずに利用可能な、制限のないインフラストラクチャコンピューティング環境が実現したからです。
このトレンドは5G、カーボンナノチューブ、ディープニューラルネットワーク向けASIC、ニューロモルフィックハードウェア、量子コンピューティングによって実現されます。
著者プロフィール:林雅之
ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
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