“Azure+AI+IoT”がクラウド成長に追い風 次なる勝負は“クラウド+エッジ”?:Microsoft Focus(2/3 ページ)
サティア・ナデラCEOの下、クラウドシフトへ舵をとったMicrosoft。その航海は順風満帆で、米Microsoftが発表した2018年度第4四半期決算によると、クラウド事業の成長率はAWSの2倍近いことが明らかになった。
“Azure+AI+IoT”で企業のイノベーションを後押し
アルソフEVPは、この第4四半期のトピックスとして、Azureの採用で“クラウド、AI、IoT”を活用した顧客企業のイノベーションストーリーを紹介。
米Microsoftは、米Walmartのクラウドブロバイダとして、小売業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する戦略的パートナーとなることを発表。5 年間にわたる契約期間を通して、Walmartは、同社のブランドファミリーを通じた標準化推進のため、クラウドとAI/IoT機能を提供するAzureと、「Microsoft 365」などのクラウドソリューションを全社で活用。も活用しつつ、顧客の利便性向上や、“従業員がベストを尽くして働ける環境”を実現するという。
スープとスナックのメーカーである米Campbell Soup Companyは、Azureを採用し、グローバルなハイブリッドクラウドソリューションを活用して、ITのトランスフォーメーションを推進する計画だという。
171年の歴史を持つビールメーカーの米Carlsbergも、Azureを導入し、AIとIoTを活用して、ビール醸造に科学的知見を適用し、製品開発の加速や品質向上を図るための「Beer Fingerprinting Project」を展開している。
米Walt Disney World Resortは、AIなどのインテリジェント機能をIoTデバイスで利用できるようにする「Azure IoT Edge」を活用して、南米と北米を移動して雛を育てるムラサキツバメ用の“世界最小のスマートホーム”を開発。この“鳥用スマートホーム”を、米フロリダ州オーランドのDisney's Animal Kingdom内に巣箱を設置したところ、ムラサキツバメの繁殖についてこれまでにないレベルで知見を得ることができたという。
また、「Azure Sphere」の顧客事例を見ると、AzureのIoT向けクラウド機能「Azure IoT」が勢いを増していることが分かるとし、米Sub-Zero and Wolfの取り組みについて紹介。
Azure Sphereは、セキュアなMCU(組み込みプロセッサ)、OS、クラウドサービスを統合したIoTソリューション。Sub-Zero and Wolfは、食洗機の新ブランドである「Cove」を展開するにあたり、IoTを活用してパーソナライズされた顧客体験を提供するため、製品化のあらゆるレベルで安全性管理を行うソリューションとして、Azure Sphereを活用する計画だという。
その他にも、ヘルスケアの米Eli Lillyが約4万人の従業員にMicrosoft 365を採用し、新薬開発にグローバルな医師、研究者、ヘルスケア組織のコラボレイティブなアプローチを導入したこと、メルボルンに拠点を置く土木建設鉄道企業のJohn HollandがLTE対応の「Surface Pro」1200台を導入し、「Microsoft 365 E5」「Surface Hub」「Surface Book 2」と組み合わせて活用して高水準な顧客サービスを提供する体制を構築したことなどを紹介した。
Dynamics 365についても、石油ガス産業向け大手プロバイダーである NOV(National Oilwell Varco)が、セールスとフィールドサービス向けに採用。ビジネスプロセスの合理化とともに、フィールドサービスにモバイルファーストアプローチを採用し、生産性の最適化やダウンタイムの最小化を実現できたという。
アルソフEVPは、「Microsoftは、あらゆる業種でデジタルビジネスを拡大している。これらの企業は、顧客体験の変革や、従業員の創造性とコラボレーションの支援、業務革新、新製品の市場投入に向けて、Microsoftのソリューションを選択している」とした。
関連記事
- 連載:「Microsoft Focus」記事一覧
- 死角なし? 決算から読み解くMicrosoftクラウド戦略のターニングポイント
米Microsoftの2017年度第4四半期決算では、クラウド戦略に関するさまざまな転換点が見えてきた。 - もはやOSは収益源ではない Microsoftが目指す「脱」OSとは
「何が何でもWindows」から「できればWindowsも」という姿勢に転じたともいえそうです。 - 「Microsoft 365」とは何なのか?
Microsoftが、企業をターゲットに、社名を冠したサービス「Microsoft 365」を発表した。この新しい“365サービス”は、今までの製品と何が違い、どこが新しいのか。 - Microsoft 365とAzureを導入した佐賀の小学校 タブレットフル活用の授業を見てきた
佐賀県にある小中一貫校が「Microsoft 365 Education」を採用。Windows 10とOffice、Microsoft Azureを使い、新たな学校教育と教員の働き方改革を進めていくという。実際に小学5年生の授業を見ると、教育における「デジタル化」の威力が伝わってきた。 - IE固有の技術を撤廃してモダンWebへ、日本マイクロソフトがレガシーなWebアプリからの移行を促す
日本マイクロソフトは、Internet Explorer(IE)の利用を中止するだけでなく、IE固有の機能に依存したWebアプリケーションを改修し、モダンWebへ移行するよう促した。なお、IEのサポート終了時期については明言を避けた。 - 「Azure Sphere」はIoTセキュリティにPCの知見を持ち込むのか?
Microsoftならではの知見が詰まったIoTセキュリティを提供する「Azure Sphere」は、LinuxベースのセキュアOSを採用している。そこに見る、Microsoftのプラットフォーム戦略とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.