東京・豊洲で住民参加型の防災訓練 SNS投稿をAIで選別して被災状況を把握:NEC、アビームコンサルティングらが実施
NECとアビームコンサルティングらは、豊洲エリアで住民参加型の「都市型AI防災訓練」を実施する。住民のSNS投稿から被害状況把握や危機対応に必要な情報を抽出し、危機対応などに役立てるという。
NECとアビームコンサルティングは2018年9月25日、同9月29日に東京都江東区の豊洲エリアで、住民参加型の「都市型AI防災訓練」を実施すると発表した。都市部の高層マンションエリアにおける住民参加型の防災訓練として、豊洲エリアの住民にも参加してもらい、エリア全体として災害時対応の取り組みを推進する。
今回の防災訓練はAIを活用するのが特徴だ。自然災害の発生時に地域住民が投稿するSNS情報から、被害状況の把握や危機対応に必要な情報を抽出。地域被害状況の迅速な把握や、危機対応などを体験する環境を提供することで、住民の自助・共助の意識を高めることを目的としている。
SNSの投稿から必要な情報を抽出、集約するのには、アビームコンサルティングが研究開発を行っている「高度自然言語処理プラットフォーム」を使う。これは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の自然言語処理技術をベースに開発された情報通信プラットフォームで、SNSなどで発信されるさまざまな自然言語情報を解析して収集し、必要な情報を抽出できる。
今回の訓練では、SNS投稿から、インフラなどの被災状況、被災者、避難所の状況、帰宅困難者の状況などの情報をリアルタイムで解析して、プラットフォームに収集。場所やカテゴリーごとに分類、整理した上で、被害状況の把握や危機対応に活用できる情報として提供可能だとしている。地方自治体の防災情報システムと連携させれば、危機対応の実施などに活用することも可能だ。
高度自然言語処理プラットフォームで処理するSNSなどの情報は、地震計、水位計、ドローンなどのセンサーの情報と補完する形で利用できるという。各地の揺れの状況や、水位上昇の様子をセンサーで把握し、実際に現地で土砂崩れや建物倒壊、浸水などの災害が発生しているかをSNS情報で確認し、両者を組み合わせて対応を検討するといった用途が考えられるとしている。
NECは高度自然言語処理プラットフォームをUI面で支えるとともに、リアルな映像で火災と煙を再現した「VR消火体験シミュレータ」を活用し、豊洲エリアの住民を対象に、ヘッドマウントディスプレイや訓練用消火器などを用いた訓練環境も提供するという。
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