データ分析をクラウドでやれば、コストは4分の1に――みずほ銀行が「BigQuery」を試して分かったこと:実用性を測る“3つの検証”(2/2 ページ)
データ分析の高度化と分析に使うデータ量の増加に伴い、オンプレミスでの環境に限界が見えてきたというみずほ銀行。分析基盤をクラウドに移すため、Google Cloud Platformを試したという同社が得た知見とは。
テストなのに“遠慮”してしまった
「単純なデータのロードについては、8000万レコード(約20GB)で10秒強、ETLとの連携部分での読み込みは1億レコード(約30GB)で1分強という結果が出ました。われわれはその結果で満足してしまったのですが、Googleから『もっとデータを投げないんですか?』と聞かれて初めて、テストだからと遠慮していたことに気付かされたのです」(山泉さん)
オートスケーリング機能があるため、「データ処理が多重になっても、パフォーマンスが低下しにくいというメリットがある」と山泉さん。扱うデータ量が少なければ、このメリットは実感しにくいが、今後データ量や分析者が増えるのならば強い味方になる。BigQueryを使うことでデータ分析にかかるコストは、現行の4分の1程度にまで削減できると試算しているそうだ。
「オンプレミスのデータ分析基盤では、計算リソースの上限に合わせた働き方になるが、クラウドであれば、計算リソースの上限から解放されて業務を集約、並列化できるようになります。空いた時間を分析の企画や計画など、より上流工程に充てることができるようになるはず。働き方改革にもつながるでしょう」(山泉さん)
今後、みずほ銀行がBigQueryを実導入するかどうかは未定ではあるものの、クラウド活用に向けた体制作りをさらに進めていくという。
「クラウド活用には、情報開発子会社や外部ベンダーなどの“構築組織”、IT部門など案件全体を管理する“PM(プロジェクトマネジメント)組織”、そしてクラウドの経験を通じて、ビジネスの拡大を目指す“ユーザー組織”という三者の連携が欠かせません。これらの優秀なリソースを集約し、継続的な改善が続けられる環境を作る。今後はそういった『クラウドCoE(Center of Excellence)』を構築できればと考えています」(山泉さん)
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