せっかく作ったRPAが逆効果? 「野良ロボット」にご注意を:RPAで始める業務自動化のススメ(7)(1/2 ページ)
さまざまなITツールの中でも、RPAは導入した後に考えるべきことが特に多いソリューションと言えます。めでたく自分の業務を自動化するロボットを作れた……しかし、それが周りから迷惑がられる場合もあるのです。
人の代わりにソフトウェアロボットが働く「RPA」。最近では導入事例も増えてきており、記事などで目にした方も多いのではないでしょうか。もちろん、こうした記事に載っている、導入「まで」の情報も役に立つものですが、RPAにおいては、導入「したあと」の話も非常に重要です。
ところで読者の皆さんは、犬を飼ったことはありますか? かわいいですよね。厚生労働省によると、日本全国で登録されている犬は約650万頭(2017年)います。飼ったことがある方はご存じだと思いますが、生後91日以上の飼い犬は登録が義務付けられているため、正確な数値が分かるのです。
一方、野良犬を見かけることはすっかりなくなりました。公的機関が積極的に徘徊犬を保護していることも一因かと思いますが、これは狂犬病予防法により定められたものなのです。都道府県知事により、各都道府県で狂犬病予防員が任命され、予防員の管理の下、野良犬(迷子犬含む)の保護が行われているのです。ご存じでしたか?
ソフトウェアロボットにも“野良”がいる
RPAの世界でも“野良犬”は嫌われる傾向にあります。企業向けITの世界では、「野良クラウド」「野良PC」といった具合で、しばしば「野良」という表現が登場します。
これは、企業のIT部門によって適切に管理されていないモノやサービスを指し、シャドーITとも呼ぶこともあります。あなたの会社にも、非IT部門の予算や権限で利用(契約)しているクラウドサービスはありませんか? それがIT部門の感知しないところで行われているならば、立派な野良クラウドです。
実はRPAも登場当初から“野良ロボット”を懸念する声がありました。「システムを使うだけのエンドユーザーにロボットを作らせるなんてけしからん! 野良ロボットができて危ないじゃないか」と声高に叫ぶ人も少なくなかったのです。
「会社のために業務改善に取り組んでいるのに、まるで悪いことをしているような言われようじゃないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、これは社内でRPAを広めるための重要な視点でもあります。
そもそも、野良ロボットとは何でしょうか。先ほど説明した野良クラウドと同じように考えれば「企業(IT部門)が把握、管理できていないロボット」と定義できます。例えば、一従業員が人知れずトライアル版のRPAツールを使ってロボットを業務利用しているケース以外にも、ビジネス部門が自部署の予算でRPAツールを購入、利用しているケースもあるでしょう。野良ロボットと一口に言っても、その形態にはいろいろなパターンがあります。
それでは、そのような状態のロボットがなぜ野良と呼ばれて危険視されるのか。これは、冒頭に挙げた野良犬に置き換えると考えやすいと思います。
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