Google、Microsoftに続いてAmazonも プラットフォーマーがプロセッサ開発を手掛けるわけ:Mostly Harmless(2/2 ページ)
Google、Microsoftに続き、Amazonも独自開発のプロセッサ「AWS Graviton」と「AWS Inferentia」を発表しました。プラットフォーマーが自社でプロセッサを開発するメリットは、どこにあるのでしょうか?
AI用プロセッサで差別化を図る
そしてもう1つの新プロセッサは、機械学習用の推論チップ「AWS Inferentia」です。
IntelやNVIDIAの機械学習用プロセッサは、誰でもお金さえ出せば使えますから、差別化にはなりませんし、コストも高くつきます。プロセッサを独自開発しているGoogleに対抗するためにも、専用プロセッサの開発は必須だったのでしょう。
このチップについても、内部構造などの詳しい情報はまだありませんが、INT8、FP16をサポートする推論用プロセッサということですから、Googleの最初のTPUに相当するものだと思われます。
Googleの最初のTPUは、INT8専用の推論用で、その後発表されたTPU2/3はFP16に対応し、クラウドサイドでの学習にも対応しています。Googleは2018年の夏にエッジデバイス用の「Edge TPU」を発表しましたが、これは推論用で、「AWS Inferentia」もこれと同じカテゴリーとなるようです。そしてInferentiaも、将来はおそらく学習にも対応してくるものと思われます。
これらのチップ設計を手掛けたのは、Amazonが2015年に買収したAnnapurna Labsということです。こういった買収情報はWikipediaにも出ています。企業買収は数年後を見据えた中期的な戦略に基づくことが多いため、こういった情報をうまく読み解けば、未来を見通すことができそうですね。
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