コレ1枚で分かる「AI、機械学習、ディープラーニングの関係――人間の“知能”をいかに再現するか」:即席!3分で分かるITトレンド
「人工知能(AI)」「機械学習」「ディープラーニング」のそれぞれの違いと関係性は、AIの歴史をひもとくと、スムーズに理解できます。
この連載は
いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
「人間の“知能”は機械で人工的に再現できる」――そんな研究者の理想から、「人工知能(AI)」という言葉が生まれたのは1956年のこと。その後、半世紀以上にわたって研究が続けられてきました。
この間、迷路やパズル、チェスや将棋といったゲームをうまく解くこと(探索と推論)から始まり、人間が持つ知識を辞書やルールとしてコンピュータに登録し、専門家のような回答を導こうとする研究(ルールベースとエキスパートシステム)が行われてきました。
しかし、人間が辞書やルールを作るのだから、世の中の全ての事象を登録することなどできません。また、世の中には普通にある矛盾するルールが与えられると処理ができなくなってしまうといった課題も抱えていました。そのため、狭い限られた分野では成果を上げることはできたが、さまざまな分野で広く応用が利く「人間の“知能”」には程遠いもので、大きな成果を上げることはありませんでした。
その後、特定分野でのデータを解析して、分類や区別、判断や予測を行うための規則性やルールを見つけ出す手法「機械学習」が登場します。
機械学習の考え方は以前からあったが、コンピュータの性能が不十分であり、その能力を発揮するには至らず、コンピュータの性能の向上と手法の進化とともに、その能力を高めてきました。また、インターネットの普及により、大量の学習データを低コストで集められるようになったことも、この研究を加速していったのです。
AIは、どのような特徴に着目して分類や区別、判断を行えばうまくいくのか、つまり分析の基準となる「特徴の選定と組み合せ(特徴量)」を、人間が指定しなければならなりません。この特徴量についての分布やパターン、規則性を大量の学習データを分析することで見つけ出し、その結果を利用して分類や区別、判断をさせようという手法が機械学習です。
しかし、特徴量は人間が設計し登録しなければならず、その巧緻が結果を大きく左右していました。
その後、人間が画像を認識するときの脳の働きについての研究が進み、その成果を応用した機械学習の一手法である「ディープラーニング」が登場します。
この技術は、特徴量の選定や組み合せをデータを解析することで自ら作り出すことができます。そのため、人間の能力に依存せず、データ量を増やすほどに、その性能を向上させることができるのです。
これにより、世の中の森羅万象を勝手に分類できる可能性が生まれたともいえるでしょう。いまでは、画像の認識にとどまらず、音声の認識や言葉の理解などで人間の能力をしのぐ性能を発揮しつつあります。
著者プロフィール:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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