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きっかけは“阿波踊り” 残業に苦しんだ営業女子が、全社の「働き方改革担当」になるまで【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(2/4 ページ)

趣味の「阿波踊り」の練習に行こうとしたことがきっかけで、新人社員が社内に働き方改革を起こしたという企業がある。一体何が起こったのか。

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「一人働き方改革」から、営業部門全体の課題を解決することに

 「練習に参加するためには早く帰るしかない。今までのように、ぬくぬくと会社に残っていては駄目だ」――そう考えた齋藤さんは、日々の作業を紙に書き出して見直し、時間を短縮するためのヒントを探す“一人働き方改革”を始めた。

 それまで与えられた作業をがむしゃらにこなしていた状況から、一歩引いて俯瞰し、それぞれの作業を、かかる時間ごとに「小」「中」「大」の3つに分類して整理。すると、「仕事を最短時間で終わらせるために、それぞれの作業をどう順序立てればいいか」が明確になっただけでなく、営業部門全体の作業フローを遅らせていた問題に気が付いた。それは決裁フローの冗長化だ。

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自分の仕事を見直した当時、齋藤さんが手書きした業務のリスト(画像提供:ドリーム・アーツ)

 「当時は、見積もりを承認に出して決裁が下りるまで1週間ほどかかり、お客さんを待たせてしまうこともしばしばでした。見積書のフォーマットも決まっておらず、『とにかくExcelで作ればいい』程度のルールでしたし、担当者が自席でPCを開いているときしか承認が出来ない仕組みだったので、結果的に時間がかかっていました。社長に決裁してもらうために、わざわざ秘書さんに電話して頼んだこともありましたね」

 当時、部署内で最も頻繁に見積書を作成していた齋藤さんは、上長にアドバイスをもらいながら、オンラインでフロー図の書き方を調べ、承認プロセスを図案化。すると、1件の承認に営業部門から経理、社長まで10人ほどの社員が関わり、特定の人が同じ案件を複数回にわたって承認している箇所や、同じ内容を異なるシステムに複数回入力するプロセスなどの“ムダ”が見えてきたという。

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決裁の状態を見直すために書いたフロー図(画像提供:ドリーム・アーツ)

 そこで齋藤さんは、承認フローの短縮や見積書のフォーマット化を、上長や営業部長に直談判。ちょうど社内で「働き方改革」を推進していた中、他の営業からも賛同が集まり、エンジニアに見積書を自動作成するフォーマットを作ってもらった。新たな承認フローでは、決裁に関わる人数を半分近くに減らし、一人の担当者が複数回承認する状況を解消した。

 また、自社のビジネスチャットツール「知話輪(ちわわ)」を活用し、スマートフォンからいつでもどこでも承認ができる体制を整えた。現在、同社の営業部門では、早ければ当日中に承認を決裁できるという。

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