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“不確実性”を技術で解決してこそ「エンジニア」――リクルートが挑む内製化への道(3/5 ページ)

ビジネスの要件に対して柔軟なシステムを作るために「内製化」に舵を切る企業が増えてきている。5年ほど前から内製化に取り組んできたリクルートテクノロジーズは、時には失敗も経験しながら、そのメリットを見定めてきた。同社が考える内製化成功のポイントとは?

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 リクルートでは各プロダクトを、リリース間もない「導入期」、サービスをスケールさせる「成長期」、規模が十分大きくなり、安定した「成熟期」という3つのフェーズに分けている。内製開発は、このうち成長期のプロダクトに絞ることに決めた。このフェーズであれば全体の開発規模も大規模にはなりにくく、社員エンジニアでコントロールすることでメリットが出せると考えたのだ。

photo リクルートでは一般的なサービスに比べて、急速な成長が求められるという(画像提供:リクルートテクノロジーズ)

 「成長期のプロダクトの中でもスクラム開発的なアプローチが向く開発と、ウオーターフォール的なアプローチが向く開発があります。社員エンジニアがそれぞれの特性を理解しながら部分的に外注にもお願いするということを通して、連携を模索しています。これを経験すると、エンジニアとして視野が広がるので、育成にも向いています」(宮川さん)

 最近は成長フェーズのプロダクトでの開発でエンジニアを育て、最終的には、成熟期のプロダクトが抱えるビジネスインパクトの大きなプロジェクトや、経営的に重要なプロジェクトで大きな成果を出す流れを作ろうと試行錯誤しているところだという。

photo 導入期、成長期、成熟期とサービスのフェーズによって、求められる要件が変わるため、チームのメンバーを入れ替えていく必要があるという(画像提供:リクルートテクノロジーズ)

「社員エンジニア」が生み出す価値は、どこにあるのか

 紆余曲折を経て、内製と外注を使い分けるスタイルに落ち着いたリクルートテクノロジーズ。「現時点で100%内製化を目指しているわけではない」と宮川さんは話すが、部分的な内製化や、社員エンジニアの育成を進める先には、一体何があるのだろうか。

 「ビジネスに対して、エンジニアが直接的に何かしらかの貢献をする状態を作ることが最も重要なことだと考えています。例えば、同じコードを社員が書けばビジネス的なインパクトが出るかと言うとそういうことでもない。『生産性が10倍になりますか』といったら必ずしもそうなるワケでもないんですよ。大切なのは、プロダクトの中で何が技術的な課題になり、それをどういう手段で解決できるのかを考えられること。そういう人を育てたいんです」(宮川さん)

 課題を見つけて解決できるエンジニアが開発をリードする。この構造こそが、社員のエンジニアが一番価値を発揮できる構造だと宮川さんは言う。

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