AIに仕事を奪われないために、私たちにできる唯一のこと:Mostly Harmless
AIの台頭が著しい昨今、AIに仕事を奪われないためにはどんな心構えが必要なのでしょうか。
この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。
最近では少なくなってきたようですが、いまだに「AIに仕事が奪われる」「AIで仕事がなくなる」という恐れを抱いている人は残っているようです。しかし、前にも書きましたが、仕事はなくなるわけではなく、「変わる」だけなのではないでしょうか。そして、「変わる」仕事に対応するために必要なことさえやっておけば、恐れることは何もないのです。少し前のものですが、こんなコラムが目にとまりました。
このコラムの著者は、長年ウォール街の証券会社でセールスとして働いてきた方ですが、AIの台頭を目の当たりにし、悩んだ末に先頃フィンテック企業に転職し、今ではウォール街へのAI導入を進めているということです。フィンテック企業の人たちを「オタク」と呼んでいるわけですね。転職した理由は「破壊される側よりも、破壊する側の方が良い」と考えたからだそうです。
先にネタばらししてしまいますが、このコラムは以下のように締めくくられています。
だが、最も重要なことは、今、求められている人材は、過去のやり方を捨て、新しい方法を学び続ける、経験豊富なプロフェッショナルだということ。
今日のブログのタイトルへの答えはここに書いてあります。「学び続ける」こと。これが私たちにできる唯一のことなのではないでしょうか。
また、コラムでは「今、求められている人材」について
クオンツ、ストラテジスト、プログラマー。好奇心を持って体験と顧客との関係を結び付けられる人、変化を積極的に受け入れられる人。
とも書いています。ここで大事なのは「変化を積極的に受け入れられる人」というところでしょう。
人の重要性は変わらない
このコラムで最も注目すべきなのは、以下の部分です。著者は「セールス部門とトレーディング部門で「伝統的」な仕事に就いている友人と元同僚に伝えたいこと」として、以下の様に書いています。
AIの急激な普及によって、セールス部門とトレーディング部門で働いている人の重要性は高まることはあっても、低くなることはない。
そう、人間が不要になることは無いのです。ただし、条件があります。それが上に書いた「変化を積極的に受け入れ」て「学び続ける」ことです。これを「状況に合わせて変わり続けること」と言い換えても良いかもしれません。
「変わり続けるプロフェッショナル」こそが求められている
その前提が、先に引用した「経験豊富なプロフェッショナル」という部分です。仕事に精通し、創造性を備えていれば、AIが進化して仕事の一部が置き換えられたとしても、学習によって新たなスキルを得て、仕事の領域を拡大することができます。単純作業はAIに譲り、(人間にしかできない)新たな地平を切り開いていくことができれば、「AIの進化など恐れるに足らない」ということなのではないでしょうか。
AIはひょっとすると産業革命に匹敵する革新的なテクノロジーなのかもしれず、これによって社会や人間が影響を受けないはずはありません。多くの人にさまざまな影響を与えるでしょうが、社会全体で見ればそれは「良い方向」なのだろうと思います。そして、社会が良い方向に変わるのであれば、人間生活もまた、良い方向に向かうのでしょう。進化を止めることはできないのです。
関連記事
- 連載:「Mostly Harmless」記事一覧
- コレ1枚で分かる「人工知能に置き換えられる職業と置き換えられない職業」
近い将来、自分の仕事は人工知能やロボットに奪われるのでは……。そんな懸念を覚える人が出始めている今、“代替される仕事、されない仕事は何か”を解説します。 - 【図解】コレ1枚で分かる、そんなにすぐには人工知能に仕事を奪われない理由
「やがては人工知能に支配される時代が来る。人間は仕事を奪われる」――。そんな言葉が世間を騒がせているが、果たしてそんなことが起こるのだろうか。 - 人工知能に「仕事を奪われる」ことの何がいけないのか?
人工知能に仕事が奪われる――。この言葉は、昨今の人工知能ブームを生んだ原因の1つでしょう。しかし、言葉だけが先行してしまい、誤った認識が広まっているのも事実だと言えます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.